「わたし、女子校出身なんだよね~」
この一言を大学のオリエンテーションや入社式後の飲み会で耳にすると、自然と身構えてしまう自分がいた。
もはやこの言葉を聞かなくても、女子校出身っぽさというものは存在する。
声が大きく、群れを成し、同盟をよく組む。この女子校出身ぽさが苦手
まず声が大きい。そして何故か女子ばかりだったはずなのに女王様気質な子が多く、「まじ彼氏ほしいわ~」や「アニメキャラと結婚してぇ」など、なんとなく品のない言葉遣いと恋愛観が特徴である。
次に同盟をよく組む。必ず最初に組むのは「女子校出身同盟」である。
それから一緒にお昼を食べるメンツや、授業の後や研修後に飲みに行くメンツなど、線引きを好む。群れを成している事もわかりやすい特徴の一つで、ひとりが苦手だ。
なんとなくこの女子校出身ぽさが苦手だ。
もれなく女子校出身女子のけいちゃんは、おきにいりを引き連れるのが好きだ。
大阪出身で物珍しいわたしは、いち早く彼女のお気に入りになった。
声が大きく高く、朝からハイテンション。常に人に囲まれていないと気が済まないけいちゃんは紛れもない女子校出身女子であり、わたしもそんな女の子と仲良くするのは初めてだったので良く一緒にお昼を食べていた。
キラキラする、圧倒的に主人公のけいちゃんがなんとなく腹立たしい
「好きな人がいるんだよね~、でもう会わないっ!」と宣言する彼女。
もちろん何故?と聞いてくれるの待ちだ。
「なんでなん?」と、まだ関西弁が抜けてないわたし。
「すっごいかっこいいの!仕事ができて、いつもバイト先でサポートしてくれるし……。でも、彼女にしてくれなくてそういう関係なの……」と腹立たしげに声を荒げる。
これは自慢だ。
女子校出身でも経験があり、しかも年上の大人の男とだという自慢。
「ふーん。ほな会うのやめぇや」
「うんっ!もうぜーーったい会わないっ!」
瞳を潤ませ、きゅっと拳を握って大袈裟なジェスチャーと共に宣言。
そして翌日、「昨日、やっちゃった★」。満面の笑みのけいちゃんは幸せそうで、誇らしげで、美しかった。
「ふーん、けいちゃんがいいんやったらいいんちゃう?」
「なんかぁ、会うとやっぱり好きだなあって……!」
と、またうるうるしている。
まだこの話きかないとだめですか?と思っているわたしに、もっとちゃんと反応してよ!というオーラがびんびんなけいちゃんだが、わたしはなぜか、なんとなく腹立たしかったのだ。
キラキラする、圧倒的に主人公のけいちゃんが。
「女子校出身だな」と観察する私も、共学っぽさを持っているのかな
そして反応の悪いわたしに見切りをつけ、もっと一緒に泣いたり、怒ったり、喜んだりしながら話を聞いてくれる子へと悩み相談を展開する。
大阪出身であればもっと感情的に相談を聞いてくれると期待したのだろう。
きっとこれからも彼女は、彼女たちは物語の主人公であり続ける。
女しかいない環境で3年過ごしただけで「らしさ」というものが形成されるのかどうかは疑問だし、わたしの主観だ。
だけと、大きな高い声で自慢げに男の話をする女子を見かけるたびに「きっと、女子校出身だな」と感じながら生きていく。
そんなわたしは共学っぽさを持っているのかもしれない。
その「らしさ」をけいちゃんに聞いてみたい。