私は男性向けのアニメが好きだ。女性向けのアニメ系コンテンツにはほとんど触れたことがない。むしろ女性向けのアニメは苦手だ。

小学生の頃からアニメや漫画が好きだった私は、月に一冊、母にマンガ雑誌を買ってもらっていた。でも、決まってそれは少女漫画。
「女の子なんだから少女漫画を読みなさい」
そう言われ、少年漫画を読むことは禁止されていた。アニメだってそうだ。少女向けのアイドルアニメを見ていても何も言われないが、男性向けのバトルものなどを見ているとよく怒られた。
それでも少年漫画や男性向けの深夜アニメなどに興味があった私は、両親が出かけている間にこっそりパソコンで、見るのを禁止されていたアニメを見た。

先に言っておくが、私は自分の性に対して不満や疑問を抱いているわけではない。ただ男性向けのアニメ系コンテンツが好きなだけ。
音楽や映画は女性に人気のあるものにも触れるし、洋服や雑貨は女子高生に人気な可愛いものが好き。ただ、女性向けのアニメを好きだと思われるのだけが嫌なのだ。

学園の恋愛ものより、熱いバトルや友情を描く世界に惹かれて

昔の話に戻ろう。
中学生になって、お小遣いがもらえるようになった。今まで母に買ってもらっていた漫画が、今度は自由に、自分で好きなものを手に入れることができる。
私はすぐさま気になっていた少年漫画を買った。家に帰ってすぐ読んだ。
それまで読んでいた少女漫画とは違う面白さ。女の子が学園のイケメンに囲まれている恋愛ものよりも、熱いバトルやその中で生まれる友情などにハマった。

それから、男性向けのライトノベルも買ってみた。これが大当たり。とにかくイラストが好みで、男性向けに描かれた恋愛模様が自分の求めていたものにすごく合っていた。
母はもう少年漫画や男性向けのアニメを見ている私に怒ってきたり、注意してきたりすることはしてこなくなったが、私が買ってきた漫画やラノベを見て呆れていた。

周りに、女性向けの漫画やアニメが好きだと思われるのが嫌になったのはこの頃から。
主に女性アニメオタクが好むBLものや、女性に向けて作られた恋愛アニメが苦手だった。
アニメが好きな友達とは好きな作品が全く異なり、「○○ってアニメ見てる?」と聞かれても「ごめん、見てない」と答えることしかできず、なんだか申し訳なかった。

女だから女性向けのアニメを見ていると思われたくない。BLが好きな前提で話を進められたり、女性に人気の漫画をおすすめされたりするのが一番困る。アニメが好きな友達が多かった私は、なんだか疎外感を感じた。

それは高校生になっても変わらなかった。アニメの話は男子としかしなくなった。というより、男子としかできなかった。
時々女子とも見ているアニメが被ることがあり、その時は嬉しくて話が弾んだ。別に女性向けのアニメや漫画が嫌いなわけではない。ただ自分の好みと合っていない。それだけ。

女性向けのアニメ系コンテンツを好む女子のことを不満に思ったり、嫌だなと思う事もない。むしろ私も女性向けのアニメが好きだったら、周りみたいに友達とイベントやアニメショップに行ったり、推しについて語り合えたりできたのかなとうらやましく感じることの方が多い。

容赦なく向けられる「女の子だから」の視線にモヤモヤ

こんな出来事があった。
部活のアニメが好きな後輩に「私、趣味が男っぽいんです」と言われた。でも、その子とは全く話が合わなかった。
その後輩はいつも女子と、きゃっきゃっうふふと趣味であるアニメの話で盛り上がっていて、ちょっとむかついた。確かに口調は男っぽい子だった。
でも、女子とアニメの話できてるじゃん。私は女子と趣味の話なんてしたことないのに。

こんなこともあった。書店に行った時の話だ。
男性向けのアニメ雑誌をレジに持って行くと、店員さんに「これいりますか?」と女性向けのアニメのポスターを渡された。やっぱり、私が女だから女性向けの作品が好きなように見られるのだろうか。
私は「いりません」と一言。店員さん、少し戸惑っていた。
申し訳なかったが、あの女性向けの作品が好きだと思われたことへのモヤモヤした気持ちの方が大きかった。

専門学生になった今、こんなことがよく学校でも起こる。
「女性向けの恋愛小説を書いたから、女の子のあなたに読んでほしい」
「女の子ならBLとか好きだろうけど……」
なんて言う先生や生徒たち。なんで、どうして。
女だからこれが好き。女だからこれを読んでくれ。正直やめてほしい。私は女性向けのアニメや漫画が苦手なのに。

「誰も悪くない」「小さなこと」かもしれない。だけど…

でも、私は女だから仕方ないことだと思う。
好みなんて人それぞれ。たまたま私は男性向けのアニメが好きなだけで、周りの女子の友達は女性向けのアニメが好きなだけ。
女性向けに作られた作品が、女性なら好きだと思うのは普通なことで、母が私に少年漫画を読ませようとしなかったのも、きっと私のためを思っての行動だったんだと思う。誰も悪くない。だからこそモヤモヤする。

別に女の子の友達とアニメ以外の話なら盛り上がるし、周りに女性向けのアニメや漫画が好きと思われる以外生活に不満は抱えていない。男性向けのアニメが好きなことで、馬鹿にされたりなんて経験もない。今の時代SNSで同じ趣味の人と繋がって話すこともできるし、男子だけれど趣味の話をできる友達はいる。

でも、でも私はこのモヤモヤを抱えて生きていかねばならないのか。小さなことかもしれないし改善策も見つからない。それでもやっぱりこのモヤモヤは消えない。
だから私はこのエッセイを書いた。ここに今まで抱いていた気持ちを吐き出すことで、少しはスッキリするだろうか。
そう願いながら私は投稿ボタンを押す。