「わたしは、井の中の蛙にはならない」
そう決意して故郷を飛び出した。
地元企業の内定を辞退し、東京での就職活動を1から始めることにした。
あれから5年の歳月が経ち、あっという間に27歳になった。

地元で過ごした日々に馳せる想い。正直地元を少し見下していた

わたしは変わらず、東京にいる。
出産やマイホーム完成といった地元の友達のSNS投稿に「いいね」を押しながら、自分の日常と無意識に比較し、これまで地元で過ごした日々に想いを馳せる。

わたしは小さい頃から目立ちたがりだった。
勉強にしろ運動にしろ、「一番になって人から認められたい」という承認欲求が強かった。
ひたすらに努力を続け、学生時代は成績トップや入賞を自分の中の生きがいにしていた。
就職活動においても始めは地元企業にエントリーしていたが、どうせ働くならこんな小さな地元ではなく、大都会の東京の企業が良いと思った。
成長して、「もっと市場価値の高い人間になってやるんだ」という気持ちだった。

上京後、お金がなくて医療費が払えず両親に電話で泣きつくことに

社会人になってからは地獄の毎日だった。
朝8時に出社し、22時近くまで栄養ドリンクを飲みながら残業をするのが当たり前。
上司からは営業ノルマの未達で詰められ、休日はストレス発散のために遊んでばかりいた。
不健康な生活が続き肌はボロボロ、当時付き合っていた彼氏とは付き合っているのかいないのかよく分からない状態だった。
散財のため貯金が底をつき、医療費もまともに払えず遠方の両親に電話で泣きついた日もあった。

「市場価値の高い人間になる」なんて言った自分はどこへ行ったのか。
そもそも市場価値ってなんなのだろうか。
入社2年目の年末年始に実家へ戻り、お風呂の中でぼんやりと自分の現状を嘆いた。

私にとってのパワースポットは、ふるさとだ。本当にありがとう

東京のせわしない日常では考えることすら辞めていた、
過去の自分のこと。今の自分のこと。そして未来の自分のことを、ふるさとでゆっくり考えた。

私は、私を変える決意をした。
今も私は東京にいる。
ふるさとから東京に戻ったあと、転職活動をし、彼とは別れを決め、新しい土地に引っ越しをして新生活をスタートさせた。
5年前、私はここで頑張ると決めたのだ。
そう気づかせてくれたのは、もう一度エネルギーをくれたのは、ふるさと以外の何ものでもない。

私のふるさと、本当にありがとう。