社会人生活7年目を迎えた2021年夏。自分でも驚くくらい、人間関係がうまくいっていると思う。

そもそも私はこれまでの人生、人間関係にずっと悩まされてきた。学生生活も仕事も何もかも、結局のところ人間関係がいつもこじれていて、私ってなんでいつも人間関係の構築が上手くできないんだろう……と思っていた。精神面で病気でもあるのだろうかと疑うほど、ずっとずっと悩んできた。

そんな中で、去年の夏ごろ、HSPという言葉を知った。HSPはHighly Sensitive Personの略で、人によって多少の差はあれど、繊細な心の持ち主のことを指す。病気ではなく気質だそうだ。「かがみよかがみ」でもHSPに関するエッセイはたくさんあるので、HSPに関する詳細についてはここでは、はぶかせてもらう。

診断テストやHSPに関する書籍、例えばイルセ・サン『鈍感な世界に生きる敏感な人たち』や井上智介『繊細な人の心が折れない働き方』など、その他にも数多く読んで、自分がHSPであると自覚した。

自分がHSPと言えずにいたが、地方移住をきっかけに少しずつ変わった

自分がHSPであると理解したものの、それを周りに伝えることがずっとできずにいた。気質とはいえ、「え、なにそれ」と引かれたらどうしよう、受け入れてもらえなかったらどうしようとか。起きてもいない状況を何度も想像しては落ち込んでを、一人で繰り返していた。

さて、話を少し変えるが、「かがみよかがみ」でこの春地方に移住したことをテーマとして、何本かエッセイを投稿させてもらった。環境の変化を苦手とするHSPが環境を一気に変えたのだから、自分でもその行動力に驚くくらいだ(笑)。

私にとって一番の難関である人間関係も大きく変わって、特に仕事仲間との付き合いが増えた。

彼らと出会って、まだ1か月弱の4月。まだまだ本音でも話せず、どう思っているのか、自分の中でその日気になったことを分析しては疲れてしまうような日もあった。

そんな中でメンバーのうちの一人が私に「HSPって知っていますか?自分、HSPなんですよね」とさらっと言った。こんな身近にHSPの人がいたことも驚いたが、それをさらっと、しかも出会ってまだ1か月弱の私に言うものだから驚きを超えて、このメンバーになら自分のことも本音も全部さらけ出して話してもいいかもしれないと思った。

私は基本的に一人の時間が絶対欲しいタイプで、パーソナルスペースに入られることが嫌で嫌でしょうがなかったのに、私の中にあった堅い壁のようなものが一気に崩れていくのが分かった。

とにかく仲良くなるのが早くて、学生時代のように語り明かす夜もあった

仕事仲間は私を含め4人いて、とにかく良い意味で個性的で、比較的受け身な私をいつも
前へ前へと引っ張りだしてくれる。プライベートでもご飯を食べに行ったり、遊びに行ったり、地方暮らしに必須の車の運転もなかなか慣れない私にいつも付き合ってくれる。

ここまで読んでくださった方はもう分かるかもしれないが、とにかく仲良くなるスピードが
自分の中で過去最高に早かった。基本的にいつも一緒にいて、仕事が休みの日も会っていることもある。

2か月ほど前、メンバーのうちの一人の家に夕方から集合して、おうちごはん会と小さなサプライズ誕生日パーティーをした。ちょっとだけお酒も入って、今考えればあれは、ひたすらお互いについて話す会だったと思う。

自分はこんな人間でという話がメインで、深夜になればなるほどほとんど恋愛トークだった。学生時代はカラオケや誰かの家に泊まってオールなんてしょっちゅうだったけど、20代後半にもなって、食べながら飲みながら寝もせず、気付いたら深夜3時をまわっているなんて、驚きだった。

こんなに本音で話せる仲間に出会えたこと、幸せだなとも思った。それから、誰か一人が「眠いけどまだ寝たくないなー」なんて言っていた。それだけ楽しいということなんだと思った。

語り明かした夜がきっかけとなり、私は「遠慮ばかりの人生」をやめた

私は基本的に迷惑をかけたくない、自分一人でできるなら全部自分でやりたいというのがこれまでのスタンスだった。遠慮ばかりの人生で、自分が苦しむ分にはしょうがないと思ってたし、それで周りが上手くいってればいいと思ってた。

だけど、あの日、あの夜がきっかけで、私は思ったことはちゃんと伝えようと思った。もちろん自己主張ばかりはよくないし、お互い歩み寄っていかないといけない。ただ遠慮して苦しむ人生はもう二度としたくないし、助けてほしいときはちゃんと言葉にしようと思った。

まだ少しだけ私に遠慮があるような気もするけど、出会ってから約5か月。私たちはふざけてお互いをいじったり、遠慮もなくトゲのある言葉を言ったりするけど、それはお互いを理解して、性格もよく熟知したからなんだと思う。

出会って、過ごした時間の長さは関係ない。あの夜の出来事は、私自身を少し変えたのと同時に、彼らとの距離感もより一層近くなった気がする。