私が自慢したい私は、「まあ、いいや。やらなくてもいい」で終わらせなかった私。一歩踏み出して、ずっとやりたいと思っていたことに取り組んでいる今の私をプレゼントしてくれた、半年前の私――。
私は行動に移す前に「やらない言い訳を並べる選手権」を繰り返していた
服が好き。ファッションが好き。そういう想いは小学生の頃から何となく持っていた。中高生の頃は制服があったし、週に一回の休日におしゃれして出かけるなんてこともなくて、華やかなファッションへの憧れは持ち続けながらも、そういう世界ともおしゃれともほぼ無縁だった。
大学生になって、古着屋さんを巡るようになって、自分の没入したい世界観をファッションに投影して纏う気持ち良さを知った。
服を、作りたい。自分の着たい服、身にも心にもぴたっとフィットする服を、私の手で作って自分にプレゼントしたい。そういう想いを持ち始めたのは、古着屋巡りにも慣れてきた大学2年の夏。
当時2週間に1回は家に泊まりに行っていた仲の友人と、「できるよ」「やろうよ」と言い合い、その言葉に背中を押されながらも、実際に取り掛かることはなかった。
やりたいことでも、実際に行動に移すということは、なかなかコストのかかることだ。お金も、時間も、エネルギーも。それらの支払いを、私はしてこなかった。 「悩む」 という名の「やらない言い訳を並べる選手権」を、脳内でずっっと開催していたのだ。
いつかやりたい。いつかやろう。少し先の自分にお任せして、当時の私は別のことにコストをかけるという選択をしていたらしい。いいや、先延ばしにして実は大して興味もないことに、お金と時間とエネルギーを使っていたかな。つくづく、勢い以外では何も行動できないと思う。
今、私は、週に一度 服飾専門学校でシャツの作り方を学んでいる。10月いっぱいで完成予定だから、11月からはパンツに取り掛かる。更に、服飾専門学校を卒業した友人と共にオリジナルの服を作って、現状は形ばかりだが、自分たちで展開していくショップもオープンした。
こんなにワクワクする現状をプレゼントしてくれたのは、紛れもなく、半年前、4月の私の「一歩踏み出す勇気」だった。4月の私にどんな心の動きと行動があったか。振り返ろう。
妄想ばかりの私の脳裏に浮かんだ「勢いでなければ行動できない」という言葉
大学4年生の4月、既に内定をもらっていたが就活を続けていた。アパレル企業への就職は避けていたが、どうしてもファッション業界への関心を捨てきれず、ファッション業界専門の求人サイトを眺めていた。
そこで、ファッションサークルなるものを見つけた。新歓があるというので、行きたいと思った。でも、どうしよう。私は4年生だ。サークルの新歓に新入生として参加する年次ではない。
今までの私だったら、妄想で片づけていた。「ファッションサークルってこんなかな、へー、こんなことするんだ。こんな日々かな。私はこんな人と友達になってこんな話をするかな」という妄想で自分を満足させようとする。欲求に蓋をしようとする。それが中学生の頃からの習慣だった。10年やってきた、大ベテラン。
でも、当たり前だけど、妄想じゃ何もわからない。何も感じない。何も変わらない。実際に行動しなければ、想うだけでは私は全く満たされない。その真実と向き合うときが来たのだ。
そこで脳裏に現れたのは、「勢いでなければ行動できない」という言葉。高校生の頃にどこかで聞いたときから、考えすぎて思考が同じところでぐるぐるしてしまうタイプの私の心に、弓で射られたように刺さっていた言葉だった。
今の勢いに乗らなきゃ、もうできない。今のこの機会を捨てたら、きっと次も捨てる。捨て続ける。そんなのはもうやめだ。変わりたいなら、状況を変えたいと思っているのなら、そこに少しでもワクワクがあると感じているのなら、蓋をするな。動け。
その気持ちが沸騰しているうちに、新歓の参加申し込みメールを送った。蓋は重かったけど、開けてみたら吹きこぼれが止まらない程だったよ。
衝動に蓋をして妄想で納得させていた昔の自分に、今の私を見せたい
私はそのサークルには入らない決断をしたが、服飾学校がそのサークルの学生向けに提供している講座を受けさせてもらえることになった。これも、勇気を出して連絡をしたから。
さらに、そのサークルを通して知った別のファッションサークルに4年生から入り、沢山の素晴らしいクリエイターとの出会いを掴んでいる。ああ、ありがとう。本当にありがとう。半年前の私。愛してるよ!!
こんなに楽しい今を、そして未来にもワクワクが無限に見えている今をプレゼントしてくれたあのときの私は最高だ。頭が、痛くなるくらいに撫でてやりたい。
昔の私に見せびらかしたい。衝動に蓋をして、誰かが引いてくれたレールの上を、紐に繋がれたトロッコに乗って、文句を言いながらもそれが楽だと言って座っていたあいつに。
今、私は自分の足で歩いているよ。いや、走っているよ。方角だって決めちゃうんだから。
今読んでいるあなたがもし、一歩を踏み出せなくてそこで立ちすくんでいたら、これだけは覚えておいてほしい。
目の前の川幅は、反対側から見ると、なんてことないものです。橋を架けなきゃと思っているのなら、準備体操のジャンプで超えちゃうかも。環境が白に転ぶか黒に転ぶかを決める動きの差は、意外と紙一重な差だと思うのです、どんなことでも。
さあ、私は勇気を出して衝動に身をゆだねた私を、自慢しよう。