親愛なる十代の私へ。お元気ですか?
2021年の私は、あなたが期待しているよりもずっと要領がよくなくて、スタイルが悪いけれど、人と趣味に恵まれてのんびりと日々を過ごしています。

十代の私は「ピンク」を見るだけで、嫌悪感を抱くようになっていた

今、あなたは、ピンクが憎くてたまらない毎日を送っているでしょう。
「近所の○○ちゃんのように、ピンクの服を着たらいいのに」
そんな親の言葉が苦しくて、胸にのしかかる感情の名前がわからなくて、悲しみに暮れていることでしょう。
いざ学校にピンクのバレッタを髪に留めていくと、同級生に「なに系を目指しているの?」とからかわれて、泣くのを我慢したでしょう。
ピンクよりも青が好き。私にピンクは似合わないと思う。だけど、ピンクを選ばない自分はおかしい。薄らとそんな考えで頭がいっぱいになり、いつしかピンクを見るだけで嫌悪感を抱くようになっていませんか?

ピンクが似合う人間が心の底から羨ましくて、似合わない自分をナイフで惨殺したい衝動に駆られていませんか? よくわからないなりに、その気持ちを親に吐露したら「感情的になるな」と叱られて、より一層苦しくなっていませんか?
今の私が親から同じ言葉を浴びせられたら「そっちこそ、感情を軽視するな」と反論できますが、あなたは感情表現が上手いとはいえないですから、ただ黙って聞いてることしかできなかったと思います。

十代の私なら想像もできないと思うけど、今の私はわりとピンクが好き

あなたの感情は、あなただけのものです。あなたが見聞きして、感じ取ったものは、親や友人でも否定する権利はありません。あなたが抱いたその感情を、守る権利があります。
あなたがこのことに気づくのはずっと先のことなので、心苦しい日々を過ごすかもしれませんが、気づいた後は、本当に気が楽になります。

あなたは想像もできないと思いますが、今の私は、わりとピンクが好きです。いろんなピンクがある、ということを知ったからです。
○○ちゃんが着ていたワンピースようなビビットピンクだけでなく、コーラルピンクのような落ち着いたトーンのピンクも存在するという、ピンクにもグラデーションがあるということ。あなたの大好きな青とピンクを組み合わせることで、色が引き立つ場合もあるということ。

嫌いだからピンクを避けるのでなく「理解する」ことで、楽になるよ

蓄積した嫌悪が憎悪となり、視界に入れただけで怒りが湧いてくる。そんな状態が続いていると思いますが、嫌いだからこそピンクを避けるのでなく、理解することで、ロウソクの火のように怒りが消えて、私は生きるのがずっと楽になりました。
もちろん、今でも一番好きな色は青です。ピンクを認めたからといって、それ以外の価値観が崩れたというわけではありません。好きなものが一個から二個に増えた。ただ、それだけ。

無理に好きになれというのではありません。ただ、このことをもう少し早く知っていればよかったなと、今となっては思うのです。
決して、親や友人の機嫌のためにピンクを選ぶのではありません。あなた自身のために選ぶのです。遮断ではなく、まずはピンクを認め、分析してみてください。

あなたの心の隣人 2021年の私より。
追伸、○○ちゃんとは今でもよく遊びます。