私の母はとても料理上手である。母の料理はいつもおいしく、栄養のバランスもとてもいい。それに加えて母が作ってくれたお弁当には、今まで一度も冷凍食品が入っていたことはない。母は仕事をしているのにも関わらず、いつも手作りの最高なお弁当を作ってくれていた。
私は去年の4月に大学生になった。思い描いていたキャンパスライフは新型コロナウイルスにより完全に奪われ、学校に通えず、ひたすら家でパソコンと向かい合うつまらない日々が続いた。
「母に代わって夜ご飯は私が作ろう」。退屈な生活で思いついた
つまらないこの生活の中で何か新しい趣味を見つけようかなあと考えたところ、そこで私は思いついた。
仕事をしている母に代わって、夜ご飯は私が作ろう。
最初はレシピ本をたくさん読み、レシピ通りに作った。調味料の分量もすべて細かく測ったし、食材の切り方からすべて検索していた。最初のころの料理は失敗の連続だったが、母は「仕事終わりにご飯ができているのは本当にうれしい」と喜んでくれた。
それから、1年半がたち、毎日毎日夜ご飯を作った私の料理の腕は格段に上がった。オムライスやスパゲッティなど、一品物で済ませるのではなく、健康面も考えて魚や野菜中心の献立を立てるようにしている。
先日は鮭のムニエル、野菜グラタン、白菜と豚バラのミルフィーユ鍋を作った。すべての料理が味付けもばっちりだった上に、熱々で出せるようにタイミングや順序も考えたので、料理が並べられたテーブルは、あたたかな湯気がほやほやと立っていた。
ザ・和食も作れるようになった19歳の私を、母も褒めてくれる
19歳にしてこの献立を考え、こんなにおいしい料理を効率よく作れる自分は天才なのではないか、と正直思った。
ここでもう少し自慢させていただくと、ホワイトソースから作ったシチューは本当に絶品だったし、私が作るサムゲタン風スープは家族全員が大好きでよくリクエストされる。この大人気のサムゲタン風スープはおいしすぎて家族みんながお代わりを何度もするので、大鍋で作っても2日でなくなるほどだ。
さらに、これまで挙げた料理のほかにも、煮物や白和え、ナスの揚げびたしなど、いわゆる「おばあちゃん」が作りそうなザ・和食の料理も作ることができる(何度も言うが私はまだ19歳)。いつもこのような料理を作ると、料理上手な母に「こんなの50歳の主婦でも作れないよ」といつも褒めてもらえる。
毎日練習して上達した料理は、母への恩返しにもなった
料理を作ることは大変でもあるが、19年間母には毎日毎日おいしいご飯を作ってもらっていたことを思うと、これは少しばかりではあるが恩返しになっているのではないかと思った。
今からこんなに料理ができれば、10年後に結婚しても困らないし、母も本当に喜んでくれるので一石二鳥である。
そして、ダラダラと自粛期間を過ごす人も多い中、新しい趣味を見つけ、毎日練習して上達した自分を偉いと褒めたい。
しかし、私がこんなにも料理が上手であることは、友達に話したことがない。自慢みたいだし、女子力高いアピールになっちゃうのかなあと考えてしまうからだ。
だから、今回、このエッセイを投稿して読んでいただいている方に声を大にして言いたい。
「私は料理がこんなにも上手なのだ」と。