わたしは小学生にして人生最低のクリスマスを経験した。30年間近く生きているが、未だかつてその最低なクリスマスは更新されていない。

一言で言うと、私は小学5年生のクリスマスになかなかの怪我をした。なんだ怪我かーいと思ったそこのあなた。そんな簡単な話ではないのだ。

クリスマスに、初めて0点を取った。ショックは大きかった

私はその日、初めて中学受験のための塾に行った。そう、クリスマスに塾なんて時点でちょっといやだ。しかし、来年度の受験本番に向けての冬季講習が始まる日だったし、「私は頭良いから地元の中学なんか行かない、頭良い学校に行く!」と自慢気だったので、がんばって行ったのだ。

しかし私はその日初めて0点を取った。まだ小学校では全く習ったことのない歴史のテストだった為、仕方ないことだと思う。
けど0点を取ったことは変わらない。小学生でもプライドだけは大人顔けのわたしにはショックが大きかった。
「なんで0点……なんで0点……」とものすごくヘコんでしまった。

カッターを使ったその時、思わず手を滑らせて……

塾を後にして、「わたしこれからは一分一秒も無駄にせず勉強しなきゃ」と奮起した。
家に帰ると母の「クリスマスチキン、もうすこしで焼けるよ」と言う声も無視して、勉強机の周りに置いてた漫画やアクセサリーを片っ端から押し入れにぶん投げて、勉強一筋の勉強机を作り上げた。

「よし!このまま寝ずに勉強だ~!」と思ったのだが、勉強机下のマットがあまりに汚いのでコロコロを取り出した。しかしコロコロの粘着テープが切れて、芯を取り替えなきゃいけない。でも芯がなかなか取れない。切れ込みでも入れて取りやすくしようと思ってカッターを取った矢先、手を滑らせ、指を思いっきり3本も切ってしまった。

「え、これ私死ぬのかな?」というくらい血が溢れてしまった。
左手の中指と薬指、小指を一直線で切ってしまい、痛いより血が止まらない恐怖に思わず泣いてしまった。
急いで両親が救急病院に運んでくれたが、結局9針も縫う大怪我となった。
病院から帰宅したら、見たかったクリスマス特別番組はもう終わっていた。薄暗い部屋の中、家族で黙って食べた焦げたクリスマスチキンは炭の味がして本当に不味かった。

中学受験をしなかったら、どうなっていたのだろう

これが私の人生最低のクリスマスイブである。
でも結局、怪我は処置してもらったんだし、元々は自分の不注意だし、大したことないじゃんと思われるかもしれないが、そうじゃないのだ。

そもそも怪我をするくらい不注意になってしまった原因は、「中学受験のための塾のテストで0点を取ってしまってショックを受けて思い詰めた」である。だから根本は中学受験なんか思い立たなきゃ良かったのだ。いや、言いがかりといえば言いがかりなのだが。

その後、中学受験は合格したのだが、そこで私は人間関係などでたくさん悩み、メンタルに異常をきたして、今やニートになってしまっているのだ。
だから、「クリスマスイブに怪我したのって、中学受験するなって何かからのお告げだったのかな!?」と思ってしまう。

もちろん自分自身にも原因はあるわけだし、そんなことを思っても仕方ないことなのだが、ついつい中学受験をしなかったらどうなってたのかななどと「自分は人生の分岐点を間違えたんじゃないか」という衝動に毎年、駆られてしまうのだ。

毎年毎年、精神不安になる出来事を起こしてしまったのだから、やっぱり小学5年生が人生最低のクリスマスイブだろう。
でも人生アラサーといえどこれから。
いつか人生最高のクリスマスを過ごし、塗り替えていけるように頑張りたい。