単刀直入に聞く。
サンタさんの存在を信じますか?
私は信じている。

生まれたときから、「かまってもらって当たり前」な末っ子根性の私

こいつやばいなと思っただろうか。
梅干し酎ハイの中を5、6杯追って、翌朝アナベル並みに顔面浮腫ませるような28歳アラサー女だが、サンタさんを信じている。

ある冬の日曜の朝、私はこの世に生を受けた。
私には8歳離れた姉が1人いる。
彼女のお陰で、要領の良さや、不穏な空気が漂った時のステルススキル、図太さ等、絵に描いたような末っ子根性を手に入れたと思う。
しかしどう考えても、家族全員が揃っている日曜の朝に生まれるなんて、姉に会う前から要領良すぎである。人生で一番空気を読んだかもしれない。
お陰で父の運転する車で病院まで行き、生まれた直後も家族全員に「俺やで」を出来たらしい。
空気を読んだというより、ただの末っ子根性から来る「かまってもらって当たり前」がもう発動していただけなのではとも思う。
そんなことよりサンタさんの話である。

クリスマスは、物欲モンスターには有り難い神秘的なイベント

とにかく私は生まれた時から物欲モンスターだった。
あれこれせがんではたしなめられ、ピーピー泣いた記憶がある。
某魔女見習いのステッキのテレビコマーシャルで「お花の香りがするよ!」とアナウンスがあった時は、母に「お母さんも花の香り好きやろ!?」と無茶苦茶な提案をし、「これでええ」とファブリーズに完敗したこともある。
そんな私にとって、クリスマスはかなり気合の入るイベントであった。
親が買ってくれない物を、縁もゆかりもない外国の老人が買ってくれるのだ。
なんと有難い、しかも神秘的なイベントなのだ。
良い子にしていないと貰えないとかいう緊張感やストレスも、結構楽しんでいた。
毎年厳しいサンタチェックを乗り越え、朝起きてベランダを見ると、ローラーブレードやキックボード、人形の家やゲーム機等が置いてあった。しかも、なんか箱の角とかへこんでいたりするのだ。
これあれですよね!?ソリから投げ入れたんですよね!?
姉も私も興奮MAXだった。

ラストサンタさんのプレゼントは、リクエストを無視した厚めの小説

小学校6年生の冬、真剣な顔の母から「サンタさん、今年で最後らしいから。来年からは勉強頑張れって言うてたわ」と言われた。
え?連絡取り合ってんの?と一瞬脳をかすめたが、そんなことを考えたら、サンタさんが来てくれなくなる気がして「ほぇー」とスカした。
私はラストサンタさんにポータブルMDプレイヤーを切望した。大塚愛を持ち運ばせてくれ!

しかし12月25日の朝、ベランダにあったのは1冊の厚めの小説だった。
は?
すぐに母の寝室に駆け込む。本だったんだが。すると母は横になったまま、「あんたが中耳炎になるの心配してはってな……」と言った。
もうええわい。何やねんそれ。
しかしサンタさん……私を心配してくれていたのか。しかも読書は結構好きな方である。それも知ってくれていたのか。では頂いたを読んで感性を養い、将来ビッグになって、大塚愛本人持ち歩くまで上り詰めたりますわ。
冷えた指先で、半ばやけくそになってページをめくった。
しかし、マジでおもんない。おもんないというか意味不明すぎて進まなかった。これまでで唯一サンタさんが私のリクエストを無視して選んでくれたプレゼント、センスゼロ。
本好きな母も姉も「おもんな」と言って読めなかった。父は本が嫌いで触れもしなかった。

これはもうサンタさんの仕業としか思えない。
それに、5億歩譲ってサンタさんがいなかったとしても、ここまでやり抜いた大好きな2人のサンタさんの存在を信じざるを得ないのだ。
何よりも、未だに母は「あれは私らちゃう」と言うのだ。
だったらそうに違いない。
私はサンタさんを信じている。