2021年12月28日〜30日の2泊3日で、私は1人、旅に出た。
とは言っても、県外に出る旅ではなく、地元福岡をもっと知る旅だ。
もともと旅するのが好きで、学生時代は国内外いろんなところへ行っていたけれど、コロナ禍でそれも難しくなった。
そんな中思いついたのが、福岡の気になるゲストハウスに泊まってみよう!という試みだ。
観光地を目指すのではなく、宿を目指す旅は初めてだ。
旅先に選んだのはFukuoka Guesthouse HIVEとWeBase 博多。1ヶ月ぐらい前からふんわりとどこに泊まろうかと考える毎日は少し楽しかった。
職場と家を往復するルーティンと化した毎日に、「これでこそ私だ!」と思える要素が少し投入されると、本来の自分を取り戻したような心地がした。
コロナ禍で見つけた自分なりの旅。まっさらな気持ちで新しい年を迎えられた
実は、2021年はいろんなことが起こりすぎて、忙しいということにも気がつかないくらい慌ただしかった。
1月には親しい友人が亡くなり、気持ちの整理がつかないまま1月〜2月は転職活動。
3月から転職、そこでは周りが気がつくくらいに、よくわからない理由で2人の先輩からきつく当たられ、今も当たられ続けている。
また、私はプロのシンガーソングライターを目指している。
6月に、8年間続けた音楽の習い事を辞め、別の環境で学ぶことも決断した。
7月はライブに出演。そのための準備、練習にと忙しかった。
8月〜9月はコロナの宣言やら何やらで、イレギュラーな仕事のシフトになったり、これまたよくわからない理由で不機嫌なお客さんが来たり……。今、多少ゆっくりできていて思うけれど、1年間、よく頑張ったなと。
旅しようっていう発想すら浮かばないほどに、毎日をこなすことで精一杯だった2021年。
そこから距離を置いて「旅する」という選択肢が私の中にあったことで、2021年から2022年になる時、自分の心を整え、まっさらな気持ちで新しい年を迎えることができてよかったと思う。
個性的なゲストハウスでのひとときに、心が満たされた
ゲストハウスはどちらも博多区にあり、普段それなりに遊びに行くのだけれど、今回の旅で初めて見聞きしたことが多かった。
呉服町、中洲川端、祇園周辺を散策したのだけれど、福岡にこんなにたくさんお寺があるとは知らなかった。車で通るとただの風景でしかない建物も、自分の足で近くまで歩くと立派な観光スポットだ。
奈良の大仏に負けず劣らず、とても大きな大仏と出会ったり(“大仏”というくらいだから大きいのはあたりまえか笑)、味の変わるキーマカレーうどんや、やかんの中にうどんが入った斬新なうどんが食べられるお店を教えてもらったり。
普段よく行く場所から5分ほど足を伸ばしたり、反対方向に歩いたりしただけでそこは未知の場所で、本当に知らない土地に旅しに来たみたいだ。
泊まった2ヶ所のゲストハウスも印象的で、Fukuoka Guesthouse HIVEは、古民家感や人の温もりを感じさせる手作りのインテリアがかわいらしかった。都会にいるのにどこか田舎のほっとする雰囲気を感じさせるゲストハウスで、「どこかおいしいお店ありますか?」と聞くと、受付の方が嬉しそうに教えてくれた。
一方、WeBase 博多は、Fukuoka Guesthouse HIVEとは対照的に、都会っぽさを感じさせるゲストハウスだ。建物の前では、宇宙猫らしき巨大な猫のオブジェが出迎えてくれる。一度見たら忘れられない佇まいだ。
あらゆる設備が整っており快適で、“最先端”という言葉が似合うスタイリッシュな空間だった。
中でも気に入ったのは、壁いっぱいに本が並ぶラウンジだ。どれも生活を豊かにしてくれそうな本ばかりだった。家に帰る時間を気にせず、夜中まで本を読んだり、考えごとをしたりすることができて、非常に心が満たされた。
私が私らしくいるために、旅は必要なものだ
また、1年の区切りにと、旅の途中で自分の似顔絵を描いてもらった。小学生の時に描いてもらって以来、自分で思い立って似顔絵を描いてもらったのはこれが初めてだ。
今の自分が人からどんなふうに見えているのか、1年後どんなふうに変わっていくのかを知りたいという好奇心からである。
あまりに美人に描いてくださったため、程よく自分に自信がついた。
コロナ禍で見つけた私なりの旅は、旅と言うには大袈裟かもしれないけれど、私が私らしくいるために必要なものなのだと改めて実感した。