「お嫁さん枠で採用してもらえて良かったね」と言い放った母

本年はいかがお過ごしでしたでしょうか?
またいつもと変わらず昼はぐうたらと寝て過ごし、夜遅くまでパズルゲームに勤しんでいらっしゃったのでしょうか?

3年前、わたしが社会人となり、あなたのいる実家を出たときは、「お嫁さん枠で採用してもらえて良かったね」などとあなたはおっしゃっていましたね。
"お嫁さん枠採用"のわたしもなんとか社会人をやっております。

今年もできれば、あなたのいる実家に帰りたいと思っていますよ。
出来れば楽しいひとときをあなたと過ごし、昨年作ってしまったあなたとのわだかまりをいくらか解消したいと思っております。

最後にあなたと会ったとき、口論になって「死んだほうがいい」などとあなたに言いましたね。あなたは酷く傷ついた様子を見せていましたが、正直言って「ざまあみろ」と思っていました。

暴力の記憶は、なぜか身体から出ていってはくれません

今まで世間知らずだったわたしは、黙ってあなたの言うことを聞いてきました。
あなたからの暴力の記憶は身体の細胞が全て入れ替わっても、なぜか身体から出ていってはくれません。

「そんなノロマじゃ誰からも相手にされないよ」
「ピアノの練習も続けられなくて人生うまく行くと思うの?」
「ちょっと点数取れたからって調子に乗ってるんじゃないよ」

殴られながらピアノの練習をして、家から追い出すと脅されながら中学受験の勉強をした記憶が定期的によみがえるのです。
「わたしがお膳立てしてなかったら、大学受かってないでしょ?」などとあなたから言われた記憶はありますが、褒められた記憶はありません。

今まで「子供の立場で偉そうなことを言うな・するな」とのことでしたが、わたしはあなた達両親の扶養から外れました。実家からも出たため、わたしはあなたの言葉の暴力や人格否定の言葉をもう聞き続ける必要はないようです。

「産まなきゃよかった」「人生がめちゃくちゃだ」と言うあなた

話がそれましたが、わたしの今年の抱負をお伝えいたします。
それはあなたに幸せになってもらうことです。
幸せになってもらう、とは、自分の気持ちに蓋をしないで自由にやりたいように生きてほしい、というわたしからあなたへの願いです。

わたしは去年、最後にあなたに会った際に「死ね」などとあなたに向かって言いました。
冗談ではなくあなたに本当に死んでほしいと思っていました。
過去を後悔して「あなたなんて産まなきゃよかった」「わたしの人生がめちゃくちゃだ」と言うあなたへの手っ取り早い救済は「死」ではないでしょうか?

『絶望のきわみで』の著者のシオランは「怠惰人間が真人間に勝利できる唯一の瞬間は死の瞬間だ」という趣旨のことを語っています。
怠惰人間とは厭世的に過ごし、自分の生(セイ)に対して努力をしない怠惰な人間のことです。
真人間は怠惰人間とは対照的な存在であり、常日頃から意欲的に活動し、自身の生(セイ)をより良くしようと生きています。

あなたとわたしは未来のために現状を改善する努力をするよりも、過去を後悔して悩んでばかりいます。
典型的な怠惰人間です。

あなたと、ひどい扱いを受けてきたわたし。悲しいくらい怠惰人間で

シオランは「より良き生に向け努力を続けてきた真人間にとっての、生からの最大の裏切りは死である」「怠惰人間は生の間は真人間に敗北しているが、怠惰人間にとっての死は救済のため、死の瞬間に勝利する」というようなことも言っています。

怠惰人間は死の瞬間に誰よりも勝利できるそうです。
怠惰人間として敗北し続けてきたあなたは、死の瞬間に誰よりも勝利することができます。
あなたに「死んだほうがいい」などと言った理由はそういうことです。
親からひどい言葉の暴力を受けてきたあなたと、そのあなたからひどい扱いを受けてきたわたし、どちらも悲しいくらい怠惰人間です。

あなたとわたしを幸せにしたい、人生の勝者にしたい。
叶わなければ、あなたはパズルゲームなどしながら今年も来年もずっと過ごすことになるのでしょうね。