私には、何もない。好きなことも、特技も、やりたいことも、将来の夢もない。
そんなこと言いながら、趣味の一つくらいあるでしょ、と思われるかもしれない。確かに、人並みに音楽を聴いたり、本を読んだりすることは好きだ。もしかしたらそれらが趣味なのかもしれない。

好きなこともやりたいことも、将来の夢もない。それが私

しかし、その趣味と分類されるものでさえも、取り上げられて困るものではない。音楽を聴かなくても、本を読まなくても別に困らない。私にとっての趣味とは、その程度のものなのだ。
つまり、私が言う「何もない」というのは、取り上げられて困るほど執着しているものが何もない、自分を表せる何かを持っていない、ということだ。

2021年、就職活動においての自己分析で何度も何度も目にした「真面目」という言葉。私は、他者から形容されるときに「真面目」と言われることが多い。その言葉には他意はなく、ただ文字通りの意図しかないのかもしれない。だが、私は「真面目」と言われるたびにこう思う。

自分には取り柄がない、つまらない人間なのだと。だから皆、当たり障りのない言葉で無難に私を表すしかないのだろう。そのことを実感するたびに、自分には何もないと思い知らされた。
暗い言い方をすれば、好きなこともやりたいことも、将来の夢もなく、ただ何となく惰性で生きているようなものなのだから、明日死んでも別に構わない、とさえ思っていた。

暇を持て余しているのなら、暇をつぶすために人生を楽しめばいい

そんな暗い気持ちを抱いていた時、私はある曲に出会った。『人生は最高の暇つぶし』(mona feat. HoneyWorks)という曲だ。
その曲では「人生は最高の暇つぶし どうせなら楽しまなきゃね」という歌詞があり、その歌詞を聞いたとき、私の心のおもりが外れていくような気がした。

何もない私には、人生に好きなこともやりたいことも、叶えたい夢もない。だから私は生きることが楽しいと思えなかった。マイナスにそのことを捉えることしかできなかった。
しかし、人生にやりたいことがないのなら、それはつまり、暇を持て余しているということ。人生において暇を持て余しているのなら、その暇をつぶすために人生を楽しめばいい。楽しいことがないから落ち込むのではなく、楽しいことをみつける旅に出ればいい。
私に何もないのは、私の経験が浅すぎるからだということに気付かされる。そりゃあ、何もしてこなかったのだから、何もないのは当たり前だ。でも、だからこそ私はこれから何でも持つことができるのではないか、と今なら思える。

就職活動は、暇つぶしを見つけるチャンスなのかもしれない

何もないのなら、何かしら行動すればいい。行動しなくては始まらない。私はこの曲のおかげで、人生に対してポジティブな考えを持つことができた。

2022年、私は人生の暇つぶしをするために楽しめることを見つける旅に出る。2022年のメインイベントである就職活動は、その旅のほんの一部の道のりに過ぎない。焦らず、じっくり自分と向き合って、これから先に続く人生を楽しめる術を探していきたい。そして、楽しいこと、やりたいことを見つけていく中で、自分を肯定してあげられるようになりたい。

就職活動なんてしたくない、と思っていたけれど、これは暇つぶしを見つけるチャンス、自分自身を認めてあげるチャンスなのだと思えば、そんなに悪いものではないのかもしれない。
そう思えているだけで、私は一歩成長できた気がする。そんな、何気ない成長を積み重ねる一年にしたい。