女性のオフィスカジュアルには無限の可能性があるけれど
私は年齢をわきまえず、プライベートでは大好きなクラシカルロリータファッションを楽しんでいる。
ファッションとは、最大の自己表現のツールである。それを楽しまずにどう自己表現しろというのだろうか。
女性のファッションは男性のそれと較べて著しく多様である。例えばオフィスでは、男性はスーツか否かくらいの選択肢しかないのに対し、女性のオフィスカジュアルには無限の可能性がある。では、女性はどこでもおしゃれが楽しめるのだろうか。
答えはノーである。確かに女性のファッションは多様であるが、それゆえ常に多くの制約と隣り合わせである。
先程の話に戻すと、男性は数少ない選択肢の中で、例えば髪型がどこまで許されるか程度なのに対し、女性は、派手なメイクやカラコン、ネイルはいいのか、スカートは膝上でもいいのか等、その都度職場に浸透した暗黙のルールの上を歩かなくてはならない。
そして、その暗黙のルールは時に女性を貧困に追いやる。制服が支給されない場合、プライベートとは別にその場に見合った洋服を買い足さなければならない。職種によってはメイクやヘアセットといった出費も馬鹿にならず、この国には見過ごされた美容費貧乏がどれだけいるのだろうかと疑問に思う。
規制が緩くなれば、貯蓄を使ってもっとおしゃれができるのに
一方、暗黙のルールがお金のある人の表現ツールを奪っていることも確かである。私は現在、役所に勤務しているが、自己表現のツールが本当に狭い。
幸いオフィスでも可能なきれいめ系やインフォーマルな服装も好きだが、規制が緩くなれば貯蓄を使ってもっとおしゃれができるのにとも思っている。けれどもそういった前例がなく、許されるのかと思うとつい保守的なものに走ってしまう。
アパレル不況と言われる中、お金がある人に使わせないのはいかがなものかと思うが、これは日本が頑なに暗黙のルールを尊重してきた証ではないだろうか。
皮肉なことに、この国では賃金の低い職業ほど自腹を切らされる傾向にある。動きやすい服とかわいいエプロンの着用が求められる保育士、嫌いなアイテムであっても自腹での購入が求められるアパレル店員、顔に高価な化粧品を塗りたくったメイク用品の販売員。彼女らは本当に自分の意志で購入しているのだろうか。
一方、我々役人には自腹での購入が求められる物は少ないが、自己表現の手段は狭い。我々公務員に対する制約を撤廃したら、どれほどアパレルや美容業界が繁盛するだろうか。オフィスカジュアルの規定を緩めることは、表現のツールを広めるという意味で経済発展にも繋がると言えるだろう。
周囲の目を気にし過ぎて、自己表現の手段が制限されてしまっている
だから私は、プライベートでは一切年齢をわきまえず、思う存分におしゃれをしている。先日、28歳だというのにウサギの耳が付いたジャケットを購入し、家族や友人から「これは子供服でしょ」と言われ、母親に至っては外出時の着用禁止令を発布してきた。
しかし私は諦めず、誰に何を言われようと自己を貫き通した。
だって、プライベートなんだから、お金があるのだから、自由に自己表現をしてもいいじゃないか。寧ろ、経済発展という意味で社会に貢献しているのだから、讃えられるべきじゃないか。そもそもアパレル不況の要因は、日本人が周囲の目を気にし過ぎて自己表現の手段が制限されてしまっているからではないだろうか。
日本の大人は外国のそれと比較し服装が目立たぬ地味な色に偏っている。さあ、対象年齢などという堅苦しい区切りを捨てて、最大限におしゃれを楽しもうじゃないか。勿論、洋服に限らずいい歳のおばさんがツインテールをしたって、アイドルのような派手なカラーをしたって構わない。
日本人の自由な自己表現と経済発展を祈って。