「子供おばさん」というものをご存知だろうか。
「子供おばさん」とは素敵な大人になれない女性のことである。
歳だけは取ったが、精神面が未熟で大人になれず、子供のような振る舞いをする女性を指す造語だ。
それは痛々しく、周囲を困惑させている。
私は元ニートで、「推し」を追いかけるために社会復帰したがうまくいかず失業中のアラサーだが、「子供おばさん」という肩書きも持っている。
誇ることじゃないが、認めざるを得ない。
認めざるを得ない。私は未熟な「子供おばさん」だ
まず、会社を「会話が成り立たない」とクビになった。
会話が成り立たないにもいろんなケースがあると思うが、私の場合は「いくらなんでも会話が子供っぽすぎる」「なんで大人、社会人としての発言ができないのか」「その歳でこの空気を読めないのか」と、周りからゲンナリされた。
自分では正直よくわからなかった。完全に大人として振る舞っていたつもりだった。
しかし、「うわ、自分って子供だ」と思う瞬間があった。
退職直前、取引をしていた方に「ゆめみがちさん(私)、社長さんから他にやりたいことができたから会社辞めるって聞きました。残念だなあ」と言われた時のことだ。
「は?」と声が出た。
私は辞めさせられるのに、私が辞めることにされているやないか。
会社側、嘘をついたなと分かった。
しかし嘘も方便。穏便に済ますためというのもある。そういうのが大人なのかもしれない。
「あの子をクビにしたのは会話がままならないからです。アイツやばいぜ〜」なんて、ぶっちゃけた話だ。
私のプライバシーにも関わることだし、配慮してくれた可能性は高い。
けれど、私はすごくすごく嫌だった。
私は仕事を続けたかったがクビになったのに、なぜ私が自ら辞めたという風に話を持っていくのか?と怒り狂った。
いうなれば隠蔽じゃないのか?そういう意味で会社の悪意のようにまで感じた。
どこまでも自分本位だなと思ってそんな自分に引いた。でもそうやって怒った心があることは事実なのだ。
正直、会社がマジで嫌になってしまった。「もう前職の会社なんて大っ嫌い!知らない!」と、すねたお子ちゃま状態である。
コロナでイベント中止。「怒り」は湧かず、「成長したな」と
退職後、「推し」のイベントが感染症拡大のため中止になるかもしれないという情報がSNSで出てきた。
私は会社をクビになって、ハロワに行ったり、短期派遣に行ったり、転職の面接に行って落ちたり奮闘していた時のことだった。
そのイベントのために頑張ってきたのに、かなりショックだった。
しかし、自然と「怒り」の感情だけは湧かなかった。
こればかりは仕方ないし、むしろイベントを開催することは「推し」の感染リスクも高まるから、中止は正解かもと思ったくらいだ。
今までの私だったら、くそ怒り狂ってただろう。
誰が悪いわけでもないのに、感染対策をもっとしろとか、スタッフが悪いとか思っていたかもしれない。
「推し」に会えない悲しみによるストレスは変わらないが、怒りというエネルギーは出てこなかった。
要因は正直わからない。
自分が会社をクビになったのに、自分が辞めたと嘘をつかれた!という怒りで「怒りエネルギー」が枯渇していただけかもしれない。
でもここで怒りの感情が出てこなかった自分は「成長したな」と思えた。
この経験は自分を大人に近づけたかもしれない。
スタート地点?それともマイナス?しばらく必死にもがいてみる
と思っていたのだ!が!
ついに「推し」のファンの仲間と揉めた。揉めた、というより、私の不用意な発言でかなり傷つけ悲しませてしまった。
イベント中止での私のリアクションを自画自賛していた次の日のことである。
ファン同士でのSNS内でのたわいもない会話だったが、楽しく話している中で私の口が悪くなってしまった。
故意なく他人を傷つける発言をしてしまうのは、本当に言いたいことをそのまま言う子供のようだ。気づいた時にはもう遅い。
この楽しく「推し」を応援したいコミュニティの中でも私が話すことでトラブルになってしまうんか、とショックを受けた。
二転三転した内容だったが、まとめると私は「大人になってない、子供おばさん」だ。
会社勤めを経て、自分は少し変わったつもりで大人になるための大きな一歩を経たつもりだったが、スタート地点にやっと立ったぐらいなのが現状なんだろう。いや、本当にスタート地点か?
ファンの仲間と揉めてその日はぼーっとしてしまったし、会社には未だに怒ってるし、まだ私はマイナス地点にいるのではないだろうか。
この速度じゃいつ大人になるかわからん。アラサーだというのに。
大人には一生なれないかも、というのが正直な中間報告だ。
私はしばらく泥臭く、「子供おばさん」のまま必死にもがいて生きていくのだ。