職場の先輩の口癖、「あとは大人に任せよう」。
私はこれが嫌で仕方ない。
24歳、もうすぐ社会人3年め。
私は、いつ大人になれるのだろう。

先輩の言う「大人」はきっと「偉い人」とか「できる人」という意味だ。
歴の浅い私はまだまだ子供。2歳年上の先輩だってきっとまだ子供。
分かる、分かるけど。

自分なりに仕事を頑張ってきたが結果はついてこず、「できない子」だった

仕事ができない。昔から、ずっと鈍臭い。

1年め。
演劇の世界。物づくり。自分の「大好き」を活かせそうな職に就いた。明確な目標はないけれど、内定を貰ったからには頑張ろうと決心して臨んだ。
結論、何にも頑張れなかった。
いや、自分なりに頑張ってはいた。
だけど、結果が付いてこなかった。
それって頑張っていないのと同じだと思う。仕事は成果がすべてだから。
こういう書き方をすると「1年めの分際で結果を出そうとするヤツ」感があるけれど。
なんと言うか、そういうことではなく。

入社してから色々な場面で色々な人に「あ、この子できない子だ」と思わせた自覚がある。盛大に。
ずっと空回りを繰り返していた。
失敗して怒られ、泣き。また失敗。怒られ、泣き。
男性社会で怒号が飛び交うのが当たり前の業界だけれど、「怖い」よりも「悔しい」が強かった。上司が弱い私を育てようとしてくれているのも甚く伝わっていた。
だから余計に悔しかった。

2年め。
相変わらず失敗を繰り返して怒られている。
その中でも少し、やりがいを感じる瞬間はある。
大切な打ち合わせに参加させてもらえるようになった。電話を取れるようになった。私が他の部署の人に褒められて、上司が心から喜んでくれた。小さな積み重ねで「もっと頑張りたい」と思えた。
しかし、ここで転機。
2年めに入って半ば、私は、担当部署のチーフを任された。
実力ではなく、人手不足が理由で。

先輩のように「あとは任せよう」と言っていられない立場になってしまった

話は冒頭に戻る。
私は今、「あとは大人に任せよう」なんて言っていられない立場になってしまった。
しかし、周りの先輩や他社のお取引相手から見たら、どう考えても私の経験値は子供レベルだ。このギャップが、ずっとずっと苦しい。
打ち合わせに出ても話を聞いてもらえない。
相手は皆、目の前にいる私ではなく、遠くに待機する私の上司に話しかける。「コイツじゃ話にならない」の意を感じて酷く落ち込む。
何か言えば圧で返される。不安で声が小さくなる。

もちろん毎日がこんなに悲しい訳ではないけれど。
「偉い人」じゃない、「できる人」じゃない、「大人」じゃない自分にこんなにがっかりする日がくるなんて。
早く「大人」になりたくてもなれないもどかしさ。それ以前に、相変わらず仕事が出来ない自分への悔しさ。先輩の「難しいことは他人に任せよう」精神へのイライラと、そんなことでイライラする自分の子供っぽさへの落胆。
負のスパイラル。抜け出したい、抜け出せない。
毎日頭の中がぐちゃぐちゃになっている。

私は、いつ大人になれるのだろう。
3年、5年。いや、10年。もっと先か。
早く大人になりたい。
いつか大人になったその日には、「嬉しい」の涙を流せるだろうか。