小さい頃から、「早く大人になりたい」そう思っていた。
幼稚園に通っていたときは、大人は家に帰ってからお昼寝をしなくてすむし、大好きなおやつのおまんじゅうだって、大人は丸々1つ食べられる。いかにも子どもらしい理由で、私は「大人」という存在がうらやましかった。

勉強しなくていいし、お金もある。「早く大人になりたい」と思っていた

そんな私も順調に成長を重ね、小学校を卒業し、中学校に入学した。当然、勉強も難しくなるので、塾に入る子が多かった。私も周りの同級生たちにつられるようにして、塾に入った。
そこで出会ったRちゃん。Rちゃんは、活発で友達が多く、みんなから愛されるタイプの女の子だった。席が近かった私たちはすぐに仲良くなった。休憩時間には、いろんな話をした。

ある日、Rちゃんは「大人っていいよねぇ」とため息交じりにこぼした。少し興味がわいたので、理由を聞くと、勉強はしなくていいし、好きなようにお金を使えるし、という返事が返ってきた。
確かに。私も勉強が嫌いだ。できることなら塾だって行きたくない。それに加えて、Rちゃんは中学生にしてはとてもおしゃれで、たくさんの服や化粧品を持っていた。だからあまりおしゃれに関心のない子に比べると、お小遣いが少々足りなかったのかもしれない。
そんなRちゃんの言い分を聞いていると、人に流されやすいタイプの私は、余計に早く大人になりたくてなりたくてたまらなくなった。

成人年齢の引き下げが決まり、地元の成人式は18歳が対象になった

別々の高校に進学してからは、Rちゃんとは疎遠になったけれど、早く大人になりたいという気持ちが消えることはなかった。
それなりに楽しい高校生活を送っていた私の元に、あるニュースが入ってくる。それは、「成人年齢を18歳に引き下げる」といったものだった。普段朝の情報番組なんて、占いのコーナーくらいしか見ない私が、珍しくテレビに釘付けになった。
私は2003年生まれだから、19歳になる年にこの法律が施行されるということがわかった。

しかし。「やったぁ!早く大人になれる! 」とはならなかった。むしろ急に不安になってきた。それに加えて、私の住む三重県伊賀市では成人式を20歳ではなく、18歳で行うという決議が出された。
ということは、私が成人する年は20歳・19歳(これが私の年代)・18歳と3つの年代が同じ年に成人式を行うことになる。

全く、イレギュラーにもほどがある。私の周りの子で、成人式を20歳のまま実施してほしいといった意見書や署名を提出した子もいたが、決議は覆らなかった。
まあ決まったことは仕方ない。大人になる心構えを今のうちからしておけば、大人になることに対しての言いようのない不安な気持ちを払拭できるのではないかと思い、一度「大人」と「子ども」について自分なりに考えてみた。

働いているから大人とは言えないし、子どもっぽい大人もたくさんいる

かつての私たちが考えていたように、確かに社会人として働いて、お金をもらっている大人は多い。でも、それだけでは「大人らしい」とは言えないと気づいた。現に、高校生で起業している人だっているし、何よりそれだと主婦(夫)なんて大人に当てはまらないことになってしまう。
けれど、大人の中にも「子どもっぽい」人は世の中に多数いると思う。例えば、普段はオフィスでバリバリ仕事をしているお父さんでも、休日は息子以上に戦隊もののテレビ番組に夢中になっているとか。
考えれば考えるほど、「大人」と「子ども」の枠組みは大きいようで小さいと感じた。

最終的な結論としては、人間みんな「大人らしい」部分も「子どもっぽい」部分も持ち合わせているのかな、という考えに落ち着いた。
果たしてこの考え方が正しいものなのかは分からないけど、「大人」の私も「子ども」の私も好きでいたいと思うし、これを読んでいるあなたにも、そうであってほしいと思う。