今月も待ちに待った25日のお給料日が来た。今月もお疲れ様でした、私。
私は給与が振り込まれた口座から6万円を引き出して、5万円を貯金用の口座へ入金し、残りの1万円は茶封筒にしまった。
この1万円はこれから私とともに、地元の百貨店へ向かうのである。

倹約家の私の貯蓄先は百貨店の積み立て

私はとある金融関係の企業で働く会社員だ。社会人歴も今年の春で8年目に突入しようとしている。
幼少期に私の家庭は裕福でないことを悟ってからは、周りと比べるとお金に執着するような人生を送ってきたかもしれない。

短大ではバイト代で自分の学費を支払い、社会人になってからは毎月決まった金額を薄給ながらもコツコツ貯金してきた。一人暮らしを始めてからは毎日職場にお弁当と水筒を持参し、食費を抑えている。
他にもポイ活はもちろん、アンケートサイトでもポイントをコツコツ貯めてきた。コロナ禍以前に飲み会があった日は、居酒屋から自宅までのタクシー代2000円ももったいなくて、終電を逃してしまった時はダイエットも兼ねて歩いて帰ったこともある。

今までのコツコツの小さな積み重ねで、車を一括購入できるくらいは貯金してきただろうか。そんな私は現在、毎月5万円の貯金と1口3000円の百貨店積み立てを3口している。
地元にある百貨店では“友の会”という毎月3000円を12か月積み立てるとボーナスで2000円上乗せされた金額が満会時に受け取れる積み立てサービスがある。
私は毎月その積み立てをしに、25日に百貨店へ行く。窓口で3口以上入金すると、箱ティッシュを粗品として受け取れるので、一人暮らしの身には大変ありがたい。今年でその積み立ても始めて3回目となる。

こうつらつら書いてみると貯金ばかりが生きがいに見えるようなケチ(倹約家?)な私にも、ささやかな楽しみがある。それはその積み立てた商品券を使って百貨店でお買い物をすることだ。

煌びやかな商品もいいけど、私をほくほくな気持ちにさせたのは物産展

仕事帰りにちょっとだけ百貨店に寄り道をする。一歩足を踏み入れると、1階には煌びやかなブランドバッグやかわいいデパコスが美しく陳列され、思わず立ち止まりそうになる。

いやいや今日の目的はここじゃないぞ、私。今日は見るだけ、見るだけ。

宝石のようにキラキラしたデパコスたちを横目に、立ち止まりそうな足を動かし、私は上階行きのエスカレーターに乗った。
3階まで昇ると、お気に入りのボディケアショップが目前に飛び込んできた。
私はこのショップの物腰が柔らかい販売員さんも、ここで取り扱っているボディスクラブもいろんな香りがして大好きだ。だけど今日の目的もここじゃない。
再びエスカレーターに乗り、目的である6階へと向かった。

コロナ禍以前は、6階の入り口に降り立っただけで醤油団子の香ばしい香りやラーメンの美味しそうな香りが立ち込めていたというのに、今は全くしない。だけど私の心は躍る。
私の目的は6階で定期的に開かれる物産展だった。ちょうどその頃は北海道物産展をしていた。
私は友の会商品券を握りしめて、マスク姿の老若男女で賑わう物産展会場に入った。

キラキラと赤く輝くいくらのしょうゆ漬けに、大きなタラバガニにも心を奪われる。
六花亭のマルセイバターサンドはマストで買いたいから、えっと家族の分と、自分用と……。
あ、あそこに売ってる鮭のルイベ漬けも美味しそう、彼と一緒に食べたいなぁ。

どれもこれも美味しそう、と迷ってしまって、なかなか会場すべてを見終らない。
地元では見かけない珍しいスイーツや大きな海産物は、見ているだけでわくわくした。
商品券もあるんだから、と欲しいものは衝動的に全部買いたくなったけど、興奮する気持ちを落ち着かせて、一緒に食べるであろう彼の顔や家族の顔を思い浮かべて、時間をかけて商品を吟味した。今回はマルセイバターサンドや鮭のルイベ漬け、カタラーナなどを購入して、ほくほくとした気持ちで私は帰宅したのだった。

貯めるだけじゃない、幸せを感じる貯蓄が私流

後日、購入したお土産を家族に渡すと、いつものように「ありがとう!これ美味しいよね」と、とても喜んでくれたし、鮭のルイベ漬けといくらを混ぜて海鮮丼にしたものを彼と一緒に食べたらものすごく美味しかった。
「んまー!!!」と2人で叫び、海鮮丼をほおばる時間はすごく贅沢で幸せだった。
ふふ、また来年も食べられたらいいな。

他にも百貨店で友人へのプレゼントにコフレを購入したり、自分へのご褒美として少しいいハンドクリームを購入したり、この商品券でのお買い物のおかげでささやかな幸せがたくさん増えた気がする。
ささやかな幸せをありがとう、友の会。

いつも日常生活ではコツコツと倹約している私だけど、誰かと一緒に美味しいものを食べたり、大切な相手にプレゼントを贈ったり、頑張った自分のことを少しだけねぎらったり、幸せを共有すること・誰かを幸せにすることに対しては自分の決めた範囲内で後悔することなくお金を使いたいと思っている。
だってコツコツお金を貯めているだけじゃ毎日寂しいし、「何のために私は働いているんだろう」と考えてしまうから。

今日も今日とて、私はお弁当と水筒を持参し、せっせと節約に励む。そして、あっという間に25日を迎える。

今日も茶封筒に1万円を入れて百貨店に寄り道してしまおう。2月から6階ではバレンタインフェアをするみたいだから、ちょこっとだけ見ていこうかな。
薄給だけど、私は今日も幸せだ。