久しぶりの彼氏。でも楽しい時間は永遠に続かず、悲劇が起きた

いつぶりだろうか。デートの時にさりげなくリードしてくれて、距離の縮め方も全く不快じゃなくて、また会いたいと思える相手に出逢えたのは。
私は、そう思えた相手とお付き合いをしたはずなのに、たったの3か月でお別れをした。

思い返せば去年の10月。
2回のデートを経て、久方ぶりに彼氏ができた。告白してもらえた時はとにかく嬉しかったし、付き合ってからはいつも当たり前のように過ぎていく日常でさえもキラキラ輝いていた。毎日幸せを噛みしめつつ、「彼氏ができるとこんなにも見える世界が変わるのか」と驚いた。

しかし、楽しい時間は永遠には続かない。年が明けた頃から、私が学業や内定者課題などでとにかく忙しくなった。自分のことで精一杯。今までより交際に時間を割くことが難しくなった。
それでも私は、今まで通り電話を掛けたり泊まりに行ったり、会う頻度を保つ努力を惜しまなかった。

そんな中、嫌なことは急に起こってしまう。
忙しいから泊まりに行く頻度を減らしたいと彼に伝えて、3日も経たないうちに「会いたいから泊まりに来て」と頼まれた。
私はそれを断れなかった。必要とされていると感じたから。
私は抱えている課題の締め切りとにらめっこしながら彼に返事をし、その日は徹夜で課題をこなした。
泊まりに行くと、彼はいつも通り優しかった。課題を頑張って終わらせた甲斐があったと優越感に浸った。この時の私は、翌日に悲劇が待ち構えていることなんて知る由もなかった。

翌日の朝。
対面で開催予定のミーティングが急遽オンラインになった。連絡が来た時には、帰宅する時間の余裕はもうなかったため、カフェから参加しようと考え身支度を進めていた。彼はこう言った。
「俺の家から参加しなよ」
彼はその日、在宅のインターンだと言っていたため、意外な返答に驚いたが、私は彼の言葉に甘えることにした。

彼が指さした散らかったキッチン。寒さで震えた4時間のオンライン会議

ミーティング開始5分前。
彼はキッチンを指さしながら、こう言った。
「何回か会議が入っていて、声混ざっちゃうからあっち行って」
そして、椅子を運びながら、「ここら辺好きに使っていいから」と言い放ち、勢いよくドアを閉めた。
あまりに冷酷な対応だった。散らかったキッチンは、まるで私がここでミーティングすることを拒絶しているようだった。
5分という限られた時間では、もうどうすることもできず、泣き寝入りするしかなかった。

開始ギリギリの出来事で頭の整理が追い付かないまま、私は無理やり平常心を保つよう自分に言い聞かせ、ミーティングに参加した。寒さで指先がこわばり、ふとした時にどうしようもない程の虚しさに襲われ、少しでも気を抜いたら泣いてしまいそうだったから、必死に目の前の課題に食らいついた。

4時間に及ぶミーティングを終えた私は、1秒でも早くこの場から立ち去りたかった。彼はこう言った。
「寒かったでしょ?ごめんね」

拍子抜けした。
本当は、文句のひとつでも言ってやりたかった。でも私は「ううん、突然のことで迷惑だったよね?ごめんね」としか返せなかった。私が発した「ごめんね」は、彼の心に響いただろうか。

逃げるように彼の家を出た私は泣いていた。
悲しいのか、虚しいのか、苦しいのか、それとも悔しいのか。
今までふとした時に感じていたモヤモヤがすべて溢れ出たかのように、涙が止まらなかった。

嫌われるのが怖かった私。あの涙で恋の呪縛から解き放たれた

この涙は、今まで自分に課していた恋の呪縛から私を解き放ってくれた。
思い返せば常に相手の顔色を窺ってばかりいた。私のことを好きだと言ってくれる人に嫌われるのが怖かった。不機嫌になられることを恐れていた。

たった一度の出来事。よく恋愛において「3か月の壁」という言葉を耳にするし、きっと3か月は、相手の真の姿を知るために必要な期間なのだろう。
そんなことが一瞬頭をよぎったが、私は本能的に彼を拒絶してしまった。
結局この後、彼も私に対して色々と不満があったようで、相手から別れ話を持ちかけられた。後悔はしていない。むしろ肩の荷が下りたように、清々しい気分だった。

しかし、今度また好きになってくれた人に対して、私は萎縮せず自分を解放できるだろうか。友達と過ごすときのように、素の自分でいられるだろうか。そんな一抹の不安もある。
次に恋愛するときは、そんな不安さえ吹き飛ばしてくれる相手がいい。
もう無理なんてしたくない。私はもう、自分を偽らない。