バレンタインにあまり印象的なことが今までなかったが、今年偶然にもバレンタインに用事が出来た。
サークルの後輩と過ごしたバレンタイン。
後輩は1個下の女の子。コロナ禍もあって会うのは3年ぶりだった。

バレンタインに一緒にラーメンを食べに行った後輩は、まぶしかった

その前の月に違う後輩の女の子と美術館に行き、その子の話になったのだ。
学科が異なっていたため、サークルの他で会うことは少なかったものの、一緒に出かけたり、夏にフェスに行ったりした。
久しぶりに連絡をして、会うことが決まった。
日付を決める時に、偶然バレンタインになったのだ。

ラーメン巡りが趣味の彼女とラーメンを食べに行った。
行きたいお店のリストもくれた。私の好みのラーメンを聞いてくれ、かなりリストアップしてくれた。
私はあまり外食をしないので、ラーメン屋が東京にひしめいていることに少し驚いた。
せっかくなので2件行くことにした。初めてのラーメンはしごである。

3年ぶりに会ったその子は、相変わらずオシャレで綺麗でいい子だった。
今年大学を卒業する彼女は、春から専門学校に通うらしい。
その日まで全く知らなかったが、学校の授業のなかで興味を持つ職業に出会えたのだという。
その子は、専門学校の進学に備えて、大学に通いながら進学費用も貯めていたのだという。
知らなかった。まぶしいな、と思った。
サークルや大教室の授業でしか知らない彼女のことを、少し深く知れた気がして嬉しかった。

恋人のこと、進学のこと。3年間を埋める話ができた

そして、4年くらい付き合っていた恋人と別れたことも教えてくれた。
春頃に一度、恋人の話を聞いてはいたのであまり驚きはしなかったけれど、何年も付き合っている人とお別れをするのは勇気がいることだっただろうな。

1軒目のラーメン屋さんは少し混んでいて、その専門学校の話を聞きながら待っていた。
「手に職を付けておいたほうがいいなと思ったんです」
自分の将来を考えて、やりたいことも考えて、大学を卒業したあとに進学する。
私は、大学を卒業したら就職するのが一般的なライフコースだと思っていたので、彼女が進学を選んだことが意外だなと思った。
自分も進学を選んだけれど、彼女ほどしっかり未来を見据えたものではない。
ただなんとなく、進学を選んだ。
新宿から高田馬場まで散歩しながら、3年間を埋めるような話ができた気がする。
2キロくらい歩いたあとでも2杯目のラーメンは、少しきつかった。
「ラーメンのはしご、初めてしたけどきっついね」
満腹さに苦しみながらも完食できた。少しきつかったけれど楽しかった。

帰り際にもらったチョコ。デートじゃなくても心温まる一日

少しベンチで休憩してから、また来た道を歩いて帰った。
帰り際、その子はバレンタインのチョコをくれた。
後輩にチョコをもらうのが新鮮だった。
今、その空き箱が残っている。
勉強の合間に食べて、捨てるのがもったいなくて残している。
後輩とのごはんは、デートではなかったけれど、心の温まる一日だった。

バレンタイン、恋の思いを伝えるだけでなくてもいいんじゃないか?
やりたいことのために春から進学する後輩と過ごして、そんなことを思った。
もしかしたら、恋愛の要素がなかったからモヤモヤすることもなく純粋に過ごせたのかもしれない。
ホワイトデーのお返しに、私も何か温かい、元気のでるようなことが出来たらいいな。