生まれて初めて、人間の裏の顔を知った。

わたしは今日までずっと消せないトラウマがある。それは中学生の時に、お付き合いをしていた彼氏との出来事。
その当時、わたしは極度な恥ずかしがり屋な性格だった。なので彼氏とコミュニケーションを取る時は、友達が見ていないところでひっそりと話すか、LINEのみだった。
このLINEがトラウマを作るきっかけとなった。

あの子が私の彼氏を好きらしい。でも、私には自信があった

お付き合いをして3ヶ月経った頃だろうか。
「Aちゃんってね、Bくん(当時の彼氏)のこと好きらしいよー」と噂が流れた。
そんな噂に対して、わたしは「まぁでもBくんは、わたしと付き合ってるし、わたしのことしかみてないから!!」と心の中で叫んだ。

浮気という考えがなかった(中学生のわたしはとってもピュア)無垢なわたし。彼氏はわたしにLINEで毎日好きと愛を伝えてくれた。1日も欠かさずに。だから自信はあったし、Aちゃんに対して敵対心を持ったわけでもなかった。

しかしそれから1ヶ月経ったある日、登録した友達のLINEアカウントをスクロールしていたら、Aちゃんのステータスメッセージに「愛してる♡」、Bくんのステータスメッセージに「俺もお前が1番好き♡」とステータスメッセージ内で会話でもしているような意味ありげな言葉を発見した。
ここでわたしはあの噂を思い出し、すぐにLINEで「そういえば噂流れたね。AちゃんがBくんのこと好きって」と送った。そしたらBくんは「うん、でも俺あいつ嫌いだから気にすることないよーお前だけが好き♡」とすぐに返信が送られてきた。

なんだ、よかった。彼氏がそう言うならそうだと信じた。彼氏を信頼しないで彼女が務まるものかと、自分に言い聞かせた。
しかし、その日以降、2人はヒートアップしていった。

Aちゃんのステータスメッセージは「早く別れろよ」そして、Bくんのステータスメッセージでは「ごめん、俺が臆病なんだ」と書いてあった。

さすがにおかしいと思ったが、信頼していたBくんが浮気をするなんて考えられない。でも誰かに取られたくない、別れたくないという一心で、わたしはLINEでBくんに対する愛を伝えた。Bくんの好きなところを10個言ったり、デートで行きたい場所だったり。読むのに10分かかる程の長文を送った。

しかし次の日、クラスの男の子から衝撃の一言を聞く。
「お前のスクショ出回ってるよ」
頭が真っ白になった。自分でも恥ずかしくなるくらい愛を叫んでいるあの長文LINEが出回ってる?え?誰が流出させたの?
男の子に聞くと、スクショはAちゃんから送られてきたという事実が発覚した。

勇気を出して伝えたわたしの本音を、彼は浮気相手に送っていた

後から聞いた話だが、BくんはAちゃんと浮気していた。AちゃんはBくんを自分だけのものにしたくて、わたしのことをよく思わなかった。Bくんは私と別れてから付き合うつもりだったらしいが、情が湧いて切り出せなかったらしい。
そこでBくんはAちゃんを安心させるべく、わたしから送られてきた長文のLINEをスクショして送り、こいつまじきもい、やっぱお前が1番好き、早く別れたいと言っていたらしい。

たしかに今思えば重たい女と思われても仕方がない。しかし当時のわたしは、卑怯な手口で相手からの信頼を得ていたという事実が受け止められなかった。
なによりも辛かったのは、信頼していた彼氏から裏切られたこと。
わたしが勇気を出して伝えた本音を馬鹿にし、それを浮気相手に送ったこと。
それだけでなく、わたしとのLINEの内容を毎日スクショで報告していたと聞いた。

高校生になってもこのトラウマは消えないままだった。
好きな人からアプローチをされても、スクショも嫌にならない表面的なメッセージしか送らなかった。
また、男友達と食事に出かけた時に携帯をいじっているのを見ると、わたしの発言や行動を全て友達に報告して、馬鹿にしているのではないかと被害妄想をするほどだった。

それからというもの、私は自分の気持ちやありのままの姿を一切見せなくなった。プライベートなことはもちろん、趣味や家族関係のことは言わない。私生活が全く見えない謎の女と化していった。
自分を知られるのが怖い、また馬鹿にされたらどうしよう、という不安から他人を信用することが出来ない。信用できるのは自分だけ、ぽっかり穴が空いたような孤独な生活。

トラウマを忘れることができたら、もっと幸せ

秘密主義が原因かトラウマが原因か、それともわたしの本当の性質なのかわからないが、自己肯定感はアルプス山脈の最高峰に匹敵するくらい高い。
だから、今までこんな自分のことを嫌いと思ったことはない。どんな時でも自分を信じていた。

ある人は秘密主義って友達いるの?と疑問に思うかもしれない。でも安心して欲しい。それをわかってくれる友達と自分と同じく秘密主義な友達、決して多くはないがよい友達に恵まれている。
だからとても幸せ。でも、このトラウマを忘れることができたらもっと幸せ。