政治に今求めたいこと、それは国民のメンタルヘルス問題に、国家レベルでしっかり取り組むことだ。
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メンタルヘルスというと最近の若者は……とか、流行りの病み系でしょ……みたいに思う人もいるかもしれないが、本当に軽く考えてはいけないと思う。
日本人の死因の統計を見たことがある人は知っていると思うが、若い世代の死因の1位が自死だ。普通におかしい。せめて交通事故とかであってほしい。
若い世代だけではない。人気芸能人の自死が報じられると、追悼番組が流れる。出演ドラマやMVの再生数が伸びる。死んでから、本人には届かないのに、盛大に感謝されて惜しまれる。そんなことがあっていいのだろうか。
「毎日しんどい」
「月曜日は憂鬱だ」
「全然疲れがとれない」
「幸せってなんなんだろう」
そんな言葉を、私たちは日常的に耳にする。
別に病気とまでは言わなくても、毎日しんどい思いをしながら生きている人は、本当にたくさんいると思う。人に言えないくらいのつらさを抱えている人も、たぶん私が想像する以上にいる。
学校での居場所に悩む学生。仕事で疲れ切った社会人。育児に翻弄される親。
この現代社会で、本当の意味でメンタルが健全な人って、逆に珍しいのではないかと思う。
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最近は本屋で、メンタル系の本を見かけることも多くなった。
楽に生きる方法、人間関係に振り回されない、自分らしく生きる、傷つきやすいあなたへ……。そんな言葉の羅列。それがどんどん売れていく。でもそれってどうなんだろうな、と思う。逆に言えば、それだけ悩んでいる人が多いということだ。
もちろん、つらいとか苦しいとか、メンタル系の問題を気兼ねなく話せる時代になったのは良いことだ。今やうつで休職といっても、さほど強い偏見で見られることはないだろう。メンタルクリニックにも比較的行きやすくなった。
行ったことがある人は分かると思うが、メンタルクリニックには、「え、こんな人が?」と思うほど普通にしか見えない人が多い。化粧も服装も受け答えもしっかりしている人がほとんどだ。あからさまに病んでいます、という人は割と少なかったりする。
私は、適応障害で精神科に入院したことがあるし、今も薬を飲んでいる。私の場合、メンタルの問題とは割と長い付き合いなので、そんなに大したことだと思っていないし、政治のせいにするつもりもないが、やっぱり辛いことに変わりはない。
そして、同じ辛さを経験する人が、これ以上増えてほしくない。これ以上、誰かに苦しんでほしくない。自ら死ぬことを選んでほしくない。自分を傷つけないでほしい。自分を嫌いにならないでほしい。これは過去の私にも言えることだ。
だから政治にも動いてほしいな、と思う。例えば義務教育の段階で、自己肯定感を育む取り組みが行われてもよい気がする。働き方改革だって、もっとできるはずだと思う。
メンタルの問題で苦しむ人が、少しでも減りますように。これからの政治に期待したい。