私が24歳の時に付き合った彼は、喜怒哀楽が豊かで、自分の思ったことをはっきり言う、子供みたいな性格の人だった。

デートで動物園に行けば、彼女である私そっちのけで動物に夢中になり、特に好きな動物のコーナーの所からは動かなくなる。遊園地に行けば、絶叫マシーンに何度も乗りたいと私を連れ回す。おかげでその日は終日、心臓のドキドキが収まらなかった。
振り回されることも多かったが、彼とのデートは楽しく、心から楽しそうにはしゃぐ彼の笑顔を見るのが私は大好きだった。

はっきり言う性格のため、初めて作ったお弁当に対して「しょっぱすぎるおかずが強烈だった」と口にしたり、デート中に見かけた他の女性に見とれ、「実はあんな体形の人が好みだ」と私のコンプレックスを刺激したり、彼の言葉で傷つくことも多かったが、それが原因で彼を嫌いになることはなかった。

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別れを決めた要因となったのは、彼の子供のような性格が重要な日常生活でも表れたこと。
連日のように上司と喧嘩して、会社や仕事の愚痴を言う。
転職を口にするが、言い訳を並べて具体的な行動には移さない。
睡眠不足が続き、仕事に支障が出ているとこぼすが、夜更かしを辞めず、病院へ相談にも行かず何も対処しない。
感情の起伏が激しく、デートの翌日に「僕は君を幸せにできない」「二人の幸せな未来が見えない」と絶望的な声のトーンで別れ話の電話がかかってくることも日常茶飯事だった。
何度も会って話し合い、もう一度頑張ろうと約束するが、こんなことが何度も繰り返された。

初めて迎えた二人のクリスマス。プレゼントに添えられた「これからも僕を支えてほしい」というメッセージを見たとき、私は直感的に「私は将来にわたって、彼を支えることはできない」と思ってしまった。

楽しかった思い出や彼への未練を断ち切るため、私は罪悪感を抱きながらもマッチングアプリに登録し、新しい恋を探し始めた。同時に「もう会えない」と初めて私から彼に別れ話を切り出した。
彼がすぐに納得してくれることはなく、ラインでのやり取りは続いた。別れる別れないのごたごたは続き、彼から私を責めるメッセージが何度も来るなど、精神的にとても消耗したが、ちゃんと別れるため私は頑張った。

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そのうちマッチングアプリで気になる人が出来た私は、新しい恋に進むという目標のため、強くなれたのだと思う。
最後に私が彼に送った「好きな人ができました」というライン。私の本気の気持ちを悟ったのか、彼からは「わかってたよ」と一言の返信のみで、その後連絡が来ることはなくなった。

数年後、私は当時の彼とは正反対の穏やかで、怒ることはめったにない落ち着いた性格の男性と結婚した。
当時、彼のことが好きだったし、一緒に過ごして楽しかった思い出も嘘じゃない。けれど、私は今、彼と別れたことを後悔していない。