社会人2年目の春、私は仕事で自身の成長を感じられず、悩んでいた。
悩み始めたきっかけは、3月の研修だった。私は普段仕事で飲食店の販売員をしている。
私には全国に25人の同期がいて、普段は異なる店舗で働いている為、会う機会は4か月に一度の研修だけだった。新卒として同時に入社をし、同じような職場環境で働いている為、仕事の悩みも打ち明けられる、良い仲間だった。
3月に行われた研修は、クレーム研修だった。どの同期も仕事を始めて1年後ということもあり、店舗で責任者を務めていた。私を除いて。私自身、同期の中で一番忙しい店舗に配属されていたこともあり、責任者をしたことがなかった。
だが、成長のペースは人それぞれ。研修に参加するまで焦りは感じていなかった。しかし、3月の研修で、同期との経験の差を感じてしまったのである。
クレームに上手く対応する同期達。何も対応出来なかった、私。不甲斐なかった。研修中、勝手に目から涙が溢れてきた。
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研修が終わり、数人の同期と飲みに行った。同期達は口々に、責任者をしているが上手く立ち回れなくて辛い、上司との折り合いが悪い、と仕事の大変さを涙ながらに語っていた。その話を聞きながら、私は仕事が大変だ、と涙を流している同期の姿がなんだかとてもカッコいい、羨ましい、と思ってしまった。
私は、そんな立場の人間ではなかった。同期より仕事上の立場が低い私。でも、どうやって同期に追いつけばいいのか分からなかった。
そんな時、出会った1曲の歌がある。緑黄色社会の「sabotage」。
新卒として一緒に入社したのに、1年経って同期達が仕事で輝いている中、アルバイトと同じような仕事をしている仲間はずれな私。曲は、私の境遇のような歌詞から始まっていた。
そして曲がサビへと進み、私の気持ちを変える運命の歌詞と出会う。
愛されるのではなく、愛したい。そんな言葉がすっと胸に入ってきた。
ずっともやもやしていた、同期より仕事上の立場が低い私。でも、どうしたら同期に追いつけばいいのか分からなかったことへの、答えなのではないかと思った。
歌詞から得られた、愛されるのではなく愛したいという考えを胸に刻み、私は仕事での人との接し方を変えて、日々仕事に取り組むようになった。
たぶん私は積極性が足りなかったのだと思う。やりたい仕事も相手にお願いされるまでじっと待ってしまっていた。私は次の日、上司に責任者を仕事でしたい旨を伝えた。
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この歌に出会ってから、私の仕事に対する姿勢は待っているだけではなく、自分から掴み取りにいく姿勢に変わった。それからの数か月は、ただがむしゃらに仕事に取り組み、責任者も経験した。仕事が上手くいくようになった。一皮むけた私に対して、上司も褒めてくれた。なにより今の自分は、次の研修で同期に胸を張って会えるように思った。
社会人になってから数年が経過し、一緒に頑張っていた同期達も別の道を歩いている者も大勢いる。
今でも自分を奮い立たせる時に聴く、私にとって大切な一曲。緑黄色社会の「sabotage」。
私も再びこの曲を聞いて、自分を奮い立たせる時が来た。これから違う道をこの曲と共に、歩き出そうとしている。