私は今、本業として働いてきた仕事を副業にしようとしている。

今している仕事は、国家資格が必要な仕事だ。資格を取るために学校に通い、勉強をし、実技を習得し、試験を受けた。そして晴れて合格し、国家資格を手にした。
ここまでは良かった。

しかし、いざその資格を持って社会に出ると、勉強していないことばかりだった。知識や技術の他にも、処世術が必要だった。必死に食らいついたが追いつけず、毎日悔しく苦しい思いをするだけだった。

そんな毎日を続けていれば、当然のことながら「辞めたい」が脳裏によぎる。日を追うごとにその気持ちは強くなっていき、働くことに希望もやる気もなくなっていった。
休日は休んでも休んだ気がしない。もっと休みがないと自分をリセットできない。このまま本業として続けて良いものだろうか、と毎日自分に問い続けていた。

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正社員として働いて、気づいたことがある。
それは、自分は他人よりも多く休む時間が必要であるということだ。
仕事の都合上、毎回連休があるわけではなかった。1日しか休みがないときは、睡眠時間を削ってでも早起きして家事をこなす。予定もその日にしか入れられないため、午前中から活動する。いくら眠くても、電車の中でいかに早く寝落ちして仮眠をとるか、に賭けていた日もあった。
当然、体は休まるはずがない。ぼーっとしている時間は罪悪感のように感じて、ひどく後悔をしながら夕方を迎えていた。
連休があっても似たようなものだ。ほんの少しゆとりはあるが、これで良いはずがない、と思うようになった。

そんな毎日の、つかの間の休息はテレビ鑑賞。ある時、テレビをみていて、引っかかった言葉がある。
画面の向こうで芸能人が言った、「仕事をさせていただいて」という言葉だ。
常に仕事があり、出勤すれば目の前の仕事を当たり前にこなす毎日に、「させていただいて」なんて言えない。でも、この言葉が素直に出てきたら素敵だな、と感じた。

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そこで出した答えが、副業としてこの仕事に関わること。
この仕事は、決して嫌いではない。今すぐ辞表を叩きつけて二度と戻ってくるものか、というほど強い否定はしない。だが、ある程度の距離を置きながら関わることは必要だと感じていた。

国家資格ということもあり、時給は飲食店のアルバイトよりももらえる。学生の時にがむしゃらに働いて得たお金が、それよりも少ない労働時間で稼げて収入となる。本業として働くよりも休日が確保でき、休むことができるためリフレッシュだって可能だ。正社員のような固定給が保証されている訳ではないため、毎月の給料は波があるけれど、それでも休みに当てられる時間が確保できることは最大のメリットに感じた。

時間給のシフト制で働くことで、稼いでいることを実感でき、休日を確保して仕事に臨める。仕事の内容こそ目の前にあるものだけれど、自分をリセットできる時間が作れたら、今の苦しさから抜け出せるはず、そう思った。

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今年の3月、年度末のタイミングで正社員をやめた。
4月からは、新しい職場でパート勤務を始めた。社会人経験も浅い中、パートで働く選択をした私に、まわりの人は、なにやら訳ありだと言わんばかりの目を向けてくることもある。だが、私は満足している。
今の状態は、本業のまま。パート勤務でありながらも、家計を支える収入の柱となっている。

ゆくゆくは副業にすべく、前の職場にいたころから少しずつ準備を進めてきた。ブログを始めたのだ。今はまだ、収入があるまでにはなっていないが、徐々に具現化しているところだ。準備には少し時間がかかるため、もうしばらくは準備期間だが、理想の生活が叶うことを想像すると、とてもワクワクしている。

これからも時間を要するものの、いち早く本業を副業にしたい。ブログで稼ぐことを本業とし、今の仕事は社会との関わりを忘れないために副業として働く、という感覚だ。

簡単ではない。今は自分の中だけで進めているこのたくらみも、家族からもきっといろんなことを言われるのだろう。しかし、自分がこれでいいと思わなければ仕事はできない。はかどらない。社会人になって数年で痛感したからこそ、この企みをしているのだ。
働くのは私。こうなりたい、という形を実現するのは私。

私のたくらみは、まだ始まったばかりだ。