ふふふ、無料クーポンでビールを手に入れたぜ。
私はコンビニのレジでアプリのバーコードを見せて、店を出る。レジ袋は、もちろん、お金がかかるから貰わない。
うわっ、あの人、無料のビールだけ買って行ったわと店員さんに思われてるかもしれない……。だが、私は気にしない。
普段からポイ活をしている私は、コンビニアプリの無料クーポンを毎日かかさずチェックしている。以前、見逃して期限切れになったことがあったからだ。

ケチケチで関西人の私は、「割引き」や「無料」、「タダ」という言葉の響きにときめきを感じる。
商品をお得にゲットしたときの、
「わあ、やったあ、得した!」
あの喜びの瞬間が、最近の私の至福の時間の1つといっても過言ではない。
契約社員で収入が多くないこともあって、始めたポイ活。最近はアンケートサイトに登録してポイントを稼ぎ、それをローソンのPontaポイントに変えて、ローソンのお試しクーポンでお得に商品をゲットするということにもハマっている。
ああ、だめだ。やめられない。ポイ活沼である。 
最近は懸賞も気になっていて、抽選にも応募している。なかなか当選する確率は低いが、先々週、サッカーの試合のペアチケットが当たって妹とナイターを見ることができた。妹も喜んでくれて、ぐふふふである。タダで試合が見れるなんて。

◎          ◎

商品をお得にゲットする――。
あの快感との初めての出会いは、幼いころ、親と一緒についていった夜遅くのスーパーであろう。
閉店前に食べたい商品に貼ってある赤色の値引きシール。3割引きのシールを見て舞い踊り、半額のシールを見たときは、もう心の中はサンバ状態である。
「わあ、めっちゃ安いやん!すごーい!」
目をきらきら輝かせて値引きシールを眺めていた。
あれは魔法のシールだ。私はそう思った。あのときから、私は魔法のとりこになっている。

親は、そんな私の将来の行く末を心配していたのかもしれない。
「タダほど怖いもんはないで」とも、普段からよく私に言っていた。タダって言って、人を騙したり怖い事件に巻き込まれたりすることもあるから、下校途中で「タダで飴ちゃんあげるからおいで」とか言われてもついていったらあかんでと。
大丈夫である。そこら辺の見極めは、私はできているはずだ。

「めっちゃ稼げる副業!めっちゃ稼げるポイ活」という宣伝文句の詐欺も、最近はあるらしい。果たして、これは信頼できるサイトや会社なのか? ポイ活を始めるにあたって、事前に入念に調べておくことは大切かもしれない。

◎          ◎

そんな私も、ポイ活初心者でたくさんポイントを稼げているわけではない。よくて稼げても月に500円くらいである。それに合わせて無料クーポンや抽選で得をしているくらいだ。
いつか、ポイ活上級者になって、ポイ活やクーポンだけで食費や生活費をちょっと賄えるくらい稼げるようになってみたい。本業の仕事以外で、お金を少しでも稼ぐことができれば。

そんなケチケチでやらしい私のたくらみ。
欲のかたまりである私は、次はサマージャンボの購入も考えている。