いつしか、「かがみよかがみ」にエッセイを投稿することで、恋愛をしていて思ったこと、考えさせられたこと、「ただ愛しているだけじゃ誰かと夫婦になれない」と泣いたことを言語化することで、心の整理をしてきた。
実は、4年ぶりに、私は今誰ともお付き合いをしていない、完全にフリーな状態になった。
あまりに久しぶりすぎて、どうはっちゃけたらいいのかわからないというのが正直な気持ち。
本当に好きだった相手とのパートナー関係を解消して、彼とはこれからも何かと気にかける関係性にはなるのだろうけど、この虚しさと寂しさをどうやって埋めたらいいのかな。
そもそも、埋められない気がするし、この気持ちを抱えながら生きるしかない気もする。
人肌恋しくなってまたグレーな関係性を始めてしまいそうな気もするし、また誰かを本気で好きになりたい気持ちもある。
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この4年間、私はものすごく成長した。
色んな関係性を経験して、私にはどんな傷があって、何が怖いのか、何を求めているのかよく分かった。
この4年間で、2人の人を、私は本気で好きになった。結婚の話までしたのは今のところこの2人だけだ。
1人目とは、結婚の約束さえしてしまった。両家の両親さえ巻き込んで「大丈夫、別れないから。結婚するつもりだから」と言い切っていた。
何度も泣いて、傷ついて、人生の難しさに絶望して、別れた時にはもう涙が出なくなっていた。
目がぱっちりとして、身長も高くて、かっこいい人だった。専業主夫にだってなってくれるような、男女平等を体現した人だった。
「この人の子どもを産みたい」と思ったし、2人で面白がって、2人の顔写真から将来生まれる赤ちゃんの顔を合成するアプリさえ使って、将来の話をしていた。
1人目との別れの傷は時が解決してくれたけれど、それは私が「もうこの人との将来はない」と気持ちが冷めるまで最後の数か月間粘って付き合っていたから。
「好き」の気持ちのまま、別れていたら、時が解決してくれるまでもっと時間がかかっただろう。
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2人目とは、私の人生で最も儚くて美しい別れ方をした。映画で言うなら「花束みたいな恋をした」だ。
お互い大好きなのに、別れたのは人生で初めてだった。
お互い大好きなのに、私たちが、夫婦になって子供を産んで共同生活を歩むことは想像できないから、別れた。
私が彼に対して持った愛は、「彼の子どもを産みたい」まで成長しなかった。
1人目との別れで、私は「結婚したら子ども、家庭を持つという理想にこだわりすぎて、いざ産めなかったらどうしよう」という不安と「産むことが義務」のように感じてしまって、その傷が今でも残っていると気づいた。
今まで、相手が嫌いになるか、相手への感情が冷めてから別れていたから、「好きなのに別れた」ときの対処法と免疫が、まだ私にはない。
彼の嫌なところやマイナスポイントを探したけれど、見つかったのはせいぜい、身長が私と同じことと、私ほどぱっちりした二重ではないことと、世間一般的に大学のレベルが少し違うよねと言われてしまいそうなことと、彼はずっと一人暮らしで貯金しにくいことくらい。
そんなの全部分かった上で、好きで付き合っていたのだから、これらを別れの理由に追加なんてできない。
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私の姉は奥二重。もう旦那さんがいて、彼は一重で、おかげさまで、産まれてきた私の姪っ子は、片目が一重、片目が奥二重という、なんともアンバランスでかわいい子。
自慢ではないけれど、我が家はみんな二重だから、姪っ子が生まれたとき、私は心の中で正直「一重の子ども、自分が産んだら愛せないかも」なんて思った。
「自分と同じくらいかわいくて美形で、賢い子どもじゃないと、愛せないかも」なんて思った。
そんな冷たい人間だったのに、夜中に電話してお互い大号泣しながら別れた彼は、片目ずつ奥二重と一重の人だ。
人間、本当に誰かを好きになったら、お金もルックスも家柄もどうでもよくなることがある。
「時が解決してくれるよ」と2人目の人は言ってくれたけれど、そんなことはない。だって、「好きなのに別れた」から。
時は手助けしてくれるだけで、結局は私が気持ちに整理をつけて、前に進まなきゃいけない。
もう届くことはない朝の「おはよう」のメッセージと、仕事終わりの「お疲れ様」のメッセージを想いながら、夜は何日も泣いた。こんな男のためになんで泣いているんだろうと思うくらい泣いた。
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真剣に向き合った2人の男性と別れた後、「かおりんにはもっといい人がいるよ」とよく言われた。
私と同じくらいの語学ができて、バリバリ働いていて、学歴もよくてルックスも最高な男性。身長165cmの私と隣に並んで、誰もが憧れるようなカップル。
そんな人と付き合ったことも昔あったけれど、世間が言う「もっといい人」には、本当の私はさらけ出せないことが多かった。
ここ1~2か月の間は、いつも明け方に目が覚めてしまって、眠いのに眠れない、体が重い、頭痛がするという、意味不明の体調不良に陥っていた私は、「自律神経の乱れ」と診断されて、心療内科に通院し始めたところだった。
そんな状態のときに、2人目の人と「大好きなのに別れる」という、もう人生で経験したくないつらさを大絶賛経験中。
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夜は涙をぽろぽろ流しながら、いつの間にか疲れて眠れることを待って、眠って起きると、案の定まだ明け方で、二度寝もできずに、朝を迎える。バリバリ仕事をこなして、気を紛らわせる。
面白いことに食欲もなくなって、残業終わり夜はあまり食べないという食生活はもっとアンバランスになりそうだ。
インフルエンザにかかっても、高熱を出しても、食欲だけはあったのに、恋煩いで、ダイエットでもしてみようかと笑ってみせる。
時が経てば、つらい別れも悲しい気持ちもすべて解決してくれる。
だけれど、自分が主体的に考えて、動いて、整理をしないと、時の力だけじゃ、解決できない。
むしろ、時が経っても癒えない傷だってある。そんなことを思いながら、今回の別れだけは、少しだけ時の力に頼りたい。