私の秘密は、2週間で別れた元彼の、ネットストーカーをやめられないでいることだ。

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私は昔から「ネトスト気質」があった。クラスメイトのインスタやTwitterアカウントを見つけては、過去の投稿を漁ったり、フォロワーとの交友関係を探ったりする。向こうは私のことを全く知らないのに、私はSNSから得た情報から、一方的に相手のことを知っているというような状況がざらにあった。

1番楽しい瞬間は、他人の投稿をバカにしている時間だった。仲睦まじいカップルの投稿を見かければ、どうせ別れるのにと考える。流行りに乗っている同級生を見ればバカにする。悪口の投稿を見かけたとき。カップルの共用アカウントが無くなったとき。病んだ投稿を見かけたとき。他人をバカにしたり、他人の不幸を見るのが楽しかった。その一瞬の楽しみのためにSNSをやっていた。

こんな腐った性根をしているため、友達は少なかった。充実しているとは言えない学生生活だった。自分より楽しそうで、充実してそうな同級生のSNSを見るとやるせない気持ちになった。
嫌な気持ちになるくらいなら、SNSを見なければいいのに、見てしまう。その度に、心の中で人を馬鹿にすることで平静を保とうとした。こんな自分が嫌だった。

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大学生になってから、同級生のネットストーカーをやめた。理由はあまり分からないが、新しい環境で、生活は目まぐるしく変化し、目の前のことでいっぱいいっぱいだったからかもしれない。

大学生活を送っていくうちに、彼氏ができた。告白は彼からで、話が合う相手だったので告白をOKした。
しかし、彼と付き合ってから数日経って、何気なく彼のSNSを見たその瞬間に、私の中で彼への気持ちが大きく冷めてしまった。そのきっかけとなった投稿が、「好きになっちゃった、、、」という彼のツイートだった。
投稿日は、彼に告白される前日で、好きになったというのは私のことだった。他のツイートを見てみると、私と付き合えたことや、惚気のようなものをつぶやいていた。

普通はこういう投稿を見ると嬉しくなるものなのかもしれない。でも私はこういった投稿を受け入れることができなかった。
だってこういった投稿は、私が青春時代をかけてバカにしてきたものそのものだったからだ。その彼とは2週間で別れてしまった。

なんだか彼の投稿がすごく怖かった。「私が長い間バカにしてきたもの」になってしまったと思って怖くなった。心のどこかで、私が私のことをバカにしていた。

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彼と別れてから、彼のSNSはかなり荒れていた。東尋坊に飛び込みたいだとか、夜眠れないというような投稿をしていた。彼には申し訳ないことをしてしまったと思った。
しかし、心のどこかで、私なんかのせいでこんなことになっている人間がいるということに優越感を覚える自分がいた。彼が上手くいっていないと思うと、少し幸せな気持ちになれた。私は、どこまでも他人の不幸が好きなんだなと思った。

それから私は定期的に彼のSNSを見てしまう。彼が私との失恋の話をする度に優越感に浸り、彼が病んだりしているとざまあみろという気持ちになった。

誹謗中傷をしているわけでもないし、相手に危害を加えるつもりもない。誰かに悪口を言う訳でもないし、ただ心の中でバカにしているだけ。性格が悪いのはバレても、ネットストーカーをしていることは言わなければバレない。
これが私の誰にも言えない、最低で醜い秘密だ。