「お互い成長して、この出来事を笑い話にできる日が来るといいね」。これが最後の連絡。
今度こそ、仲直りをしよう。
そう思いながら月日は流れ、気づけば約一年が経った。

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高校卒業後、入社した企業で出会った同期の一人。
元々、SNSのフォロワーの関係だったので、彼女の存在は知っていた。
入社前研修では席が前後だった為、お互いに自己紹介をし打ち解けるのが早かった。
私は大人になってから友達ができるとは思っていなかったけれど、彼女が社会人になってから一人目の友達になった。
サービス業だったのもあり、休日は平日休み。予定が合う友人もいないので必然的に休日も同期と過ごす事が多かった。
そんな中でも趣味や好み、好きな食べ物や話の波長、全ての相性が合ったのはその彼女。
一緒に過ごす時間が一番多かった。

カフェ巡り・海鮮丼食べ・月一岩盤浴・夏には花火大会・映画・ドライブ。
もちろん、朝までお酒を飲んでカラオケをしたり、一緒に大人になる過程を歩んだ。
「学生」という縛りから解放されたので全てがキラキラして刺激的だった。
一緒に過ごしていく中で喜怒哀楽を共にし、慣れない環境や初めての事も励まし合い頑張った。
仕事で辛いことや大変なことがあっても、一緒だとなんでも乗り越えられるよね、なんて手取り足取り毎日を送っていた。
私の良き理解者であり、彼女もこんな私を頼ってくれた。

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ところが、彼女から突然打ち明けられた事実。
聞いた時は、「誰にでもある事だよ」と慰めた。
彼女から、「嫌いになった?」と聞かれたが、私は「そんな事で嫌いにならないよ」と言い、優しく手を握った。
正直、内心驚いた。彼女から聞いた事を許せなかった。
寛大な心で許してあげられたら良かった。そんな事を受け入れてあげられたら良かった。
当時の私にはそれが出来なかった。
海辺に沈む夕日を眺めながら語った数日後、私は冒頭の言葉を告げた。

SNSの関係を全て切ってしまった為、彼女の現状は何もわからない。
友達伝いで聞いた話によると、素敵な彼と幸せに毎日を送っているらしい。
「成長した」っていつの事なんだろう。何て声をかけたらいいんだろう。
許してあげられなかった私を彼女は許してくれるのだろうか。答えが出ないことを考えては後退りしてしまう。
「あの時は色々あったけど、今が幸せならそれでいいよ。それだけで十分だよ」そう、真っ先に言葉をかけてあげたいな。

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そうして、一年が経ってしまった。

今はそんなこともあったな~なんて軽く考えられるようになっている。
これが「成長」ということなのだろうか。
はたまた、時間が解決したことなのだろうか。
今日こそ、お酒の力を借りて連絡してみようかな。

「初詣、一緒に行きたいね」。あの時、約束したこと。
2023年、叶えられますように。