機能不全家族で育った私は、「普通」とか「幸せ」がわからない
私は30才になった。世間一般では、今パートナーを作れば結婚というゴールを視野に入れながら交際していくような年齢だと思う。
今の日本は、女は結婚したら出産しなければならない、という考えが未だにセットで考えられている国だと思う。
結婚を勧めてきて、子どもがいることの幸せを説いてくる人がいるのが何よりの証拠だ。
結婚をしたらその先は出産。私はそのどちらもしたくない。
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私はいわゆる機能不全家族で育った子供だ。
プライドが高く、気に入らないことがあると癇癪を起こしたり、自分の気分次第で意見を変える父親。外面が良く見栄っ張りで、家のお金や子どもが貯めたお小遣いにまで手をつけるギャンブル狂いの母親。その両親が嫌で逃げることを選んだ8才上の姉。そして逃げる手段がなかった私。
常に両親が衝突しないように、私にとばっちりが来ないように両親の顔色を見ながら育った。
母親が衝突の火種になりそうな事をした時は、私がその罪を自ら被った時もある。
それでも衝突した時は何もできないので、自分の部屋に閉じこもった。怒鳴り声は大音量の音楽が流れるイヤホンで耳を塞いで聞こえないようにした。
外へ逃げたこともある。雪がちらつく日でひどく寒かったのを覚えている。家に戻るくらいならこのまま凍えて死ねないかと子どもながらに思った。
姉も最初は私と同じような事をしていた。時には反発したこともあった。だけど大人になってからは私に手を差し伸べる事なく、家に寄り付かなくなり、ついには結婚という手段をとって家から出た。
10代の私は逃げることが出来なかった。私が大切という訳ではなく、ただ自分の管理下に置きたい両親に過保護に育てられたので、自分がどうすれば良いのかという思考を奪われていた。
母親のギャンブル狂いが行きすぎたのが原因で、決まっていた私の高校卒業後の進路が卒業目前で断たれた時ですら自分がどうすればいいか考えられなかった。
ただ自分を殺して生きている日々だった。
両親のクッション材として生きてきた結果、自己肯定が出来ず、人の目を気にしながら生きる卑屈な人間が出来上がってしまった。
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私は家族の形が分からない。
私が18歳になる年に両親は離婚したが、母親はその時から一度も会っていない。
父親も数年前に死んだ。葬式は出なかったし、遺産も全て放棄した。
姉とは考えが合わず、大人になってから喧嘩別れのような形で縁を切った。それから一度も顔を合わせていないし、二度と会おうとも思わない。
地元にも帰る必要がないと思っている。
家族と関わる術が分からない人間が「普通」とか「幸せ」な家族を作れると思えない。
私は「普通」とか「幸せ」がわからない。
正しい子供の育て方をされなかったので子供を育てる見本がない。
正しく育てなかった子供が、子供を産んで育てる事が出来るだろうか？
いつか私のような子供になるかもしれない。最悪、私の両親のような事を自分がしてしまうかもしれない。
「自分は不幸だ」と思ってしまう子供が出来るくらいなら私は子供を産まない。
私以外にもきっと同じような境遇の人がいると思う。私は私を産みたくない。
不幸になるのは、家族の犠牲になるのは私で終わりにしたい。
