母に連れられて行った冬のスーパーが、一番好きだった。
インストゥルメンタルのクリスマスソングが、軽快に流れているのが楽しい。
店内も、いつもよりキラキラしているように見える。
お菓子が入った長靴や、キャラクターがデザインされたお楽しみボックス、シャンパン風の炭酸ジュース。
街よりも煌びやかに見えていた。

サンタさんを信じている友達に「それは親が夜中に置いてるんだよ」なんていじわるなことを言っていた私。
それでもクリスマスは楽しみにしていた。
正体がわかっていてもプレゼントは嬉しいし、いつもより豪華なご馳走が食卓に並ぶからだ。
大人になっても、クリスマスはご馳走の日。
これでもかとスーパー全域に並べられたご馳走を、好きなだけカゴに放る。

大人になったら、サンタさんは自分。
自分から自分へ、ささやかなプレゼントを贈る。
親でもない、恋人でもない、自分自身がサンタさんなのだ。

そんな素直じゃない私の元にも、あの日の夜8時にやってきてくれるサンタさんが、いつか現れるのだろうか。