喧嘩をしていた彼が、私の母のために花束を持って駆けつけてくれた日
デビュー50周年を迎えたユーミン、丸ビル20周年、新丸ビル15周年を祝う「Marunouchi Bright Christmas 2022~YUMING 50th BANZAI!~」とのコラボ企画です。通常募集時の1500字程度よりも短い180~500字程度のエッセイとなります。
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4年前。もうすぐクリスマスだというのに当時の彼と喧嘩した。原因は小さなことだったが、私は彼を許せなかった。
そのさなか、母の胃癌術後6ヶ月の検査の時期がやって来た。
検査当日、私は仕事で一日気が気ではなかったが、お昼の休憩中に母からメールが届いた。
再発転移はありませんでした、と。
メールを読み安堵のあまり、休憩室でへなへなとしゃがみ込んだが、喧嘩の余韻もあり、彼には事務的にメールを打って報告した。
仕事が終わり、帰る前に携帯を開くと母からまたメール。
「いま、○○さんが家に来ています。快気祝いに、とこんなに大きな花束を抱えて来てくれました」
急いで家に帰ると、おかえりーとニコニコ出迎えてくれる彼がいた。
彼は昼に私からのメールを読み、仕事を終え、花を買い、私より先に、勤務先の隣の市から車を走らせてここへ来て待っていたのか。こんなに愛情深い人だったのか。
夢を見ているようで、しばらく口がきけなかった。私はつまらないことで怒っていたのに。
母のことが心配で忘れていたが、今日はクリスマス。美味しいものを食べに行こう、とみんなで出かけた。
彼は、いまの夫である。
かがみよかがみは「私は変わらない、社会を変える」をコンセプトにしたエッセイ投稿メディアです。
「私」が持つ違和感を持ち寄り、社会を変えるムーブメントをつくっていくことが目標です。
恋愛やキャリアなど個人的な経験と、Metooやジェンダーなどの社会的関心が混ざり合ったエッセイやコラム、インタビューを配信しています。