4年前。もうすぐクリスマスだというのに当時の彼と喧嘩した。原因は小さなことだったが、私は彼を許せなかった。
そのさなか、母の胃癌術後6ヶ月の検査の時期がやって来た。

検査当日、私は仕事で一日気が気ではなかったが、お昼の休憩中に母からメールが届いた。
再発転移はありませんでした、と。
メールを読み安堵のあまり、休憩室でへなへなとしゃがみ込んだが、喧嘩の余韻もあり、彼には事務的にメールを打って報告した。
仕事が終わり、帰る前に携帯を開くと母からまたメール。
「いま、○○さんが家に来ています。快気祝いに、とこんなに大きな花束を抱えて来てくれました」

急いで家に帰ると、おかえりーとニコニコ出迎えてくれる彼がいた。
彼は昼に私からのメールを読み、仕事を終え、花を買い、私より先に、勤務先の隣の市から車を走らせてここへ来て待っていたのか。こんなに愛情深い人だったのか。
夢を見ているようで、しばらく口がきけなかった。私はつまらないことで怒っていたのに。

母のことが心配で忘れていたが、今日はクリスマス。美味しいものを食べに行こう、とみんなで出かけた。
彼は、いまの夫である。