友達として10年経って君と付き合い始めた。
「どうしたら切り替えられるの?」と周りからよく聞かれた。
そんなの簡単。
傷ついて寂しかった当時の私の、一番近くにい続けて優しさを与えてくれるのが君だった。
ただ、それだけだった。
10年間、優しく穏やかだった君も、付き合ってみたら雑で粗暴になっていくのかしらと、開けてみなくては中身が分からないガチャのように、少し不安になりながら。

初めてのクリスマス。
大学生だった私は、社会人の君と比べて資金面が厳しいから、お金の代わりに知恵を絞った。
ガチャが大好きな君のために、Amazonでガチャマシーン、たった4,000円。
カプセルひとつひとつにメッセージを入れて、ツンデレもこのクリスマスだけは返上。
カプセルを開けながら目を輝かせる君。
後日君の家に行って、一番目立つ棚の主賓となったマシーンを見て、大成功だったんだ、と気づいた。

あのクリスマスからもうすぐ4年。
君はずっと優しく穏やかで、彼氏ガチャはどこまでも、SSR大当たり。

当然のように与えてもらうばかりだったこれまでは、恋人がサンタクロース、君がサンタクロース。
与える喜びも知ったこれからは、恋人にサンタクロース、君にサンタクロース。

いつもより素直になれる夜に、メリークリスマス。