「なんとかなる」が「なんとかする」に変わったら、歳を取った証拠だとどこかで聞いた。
2023年、わたしは20代最後の歳になる。「なんか気持ち的にはまだ新卒なんだけど〜(笑)」という仲間内での常套句も、さすがに無理のある年齢になってきた。
否応なく「大人」になりつつあるんだと、最近は日常の随所で思い知らされる。
2023年は、そんな「大人」の部分から目を背けず、ちゃんと向き合う1年にしたいと思っている。

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具体的には何をするのか?
わたしにとっての身体的な「大人」の部分は、後頭部にやってきた。
いや、頭頂部と言うべきだろうか。
ある日、気がついてしまったのだ。外回り中に入ったショッピングモールのトイレで、三面鏡の片翼にくっきりと映し出された、あまりにも心もとない自分の頭皮に。

わたしは衝撃のあまり固まってしまった。目を疑った。髪の分け目とつむじを中心に広がる肌色のその部分は、社会科の資料集でかつて見た、北極上空に広がるオゾンホールをどことなく連想させた。
確かに、正直自分の髪については、中学生くらいの頃から若干不安を抱えていた。直毛、ボリュームなし、明確な分け目。これは将来ハゲるんじゃないか?と、口に出さないまでも危惧していた。電車で吊り革につかまりながら、目の前に座って俯いている女の人の頭頂部を見つめ、自分と比較したことは数知れない。「わたしの頭はきっと大丈夫」と、胸の内でそっと自分に言い聞かせ、不安な思いに蓋をしていた。
きっと大丈夫、なんとかなる、わたしの毛根は80年間もちこたえてくれるはず……という希望的観測は、20代のうちに打ち砕かれてしまった。

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今のままでは絶対になんとかならない。
なんとかならないのであれば、なんとかするしかない。
ということで、重い腰を上げ、億劫だったスカルプケアときちんと向き合うことにした。
髪と地肌の健康のため、食事で適切な栄養を摂ること。
朝にお風呂に入るのをやめること。髪の自然乾燥をやめ、ちゃんとドライヤーで乾かすこと。髪を洗う時、正しい方法で地肌もケアし、きちんとゆすぐこと。ブラシで頭皮をマッサージすること。
レビューを研究し、自分に合いそうなシャンプーを選ぶこと。
トリートメントをつけすぎず、適切に保湿すること……。
こうやって書き出すと、スカルプケアなんて呼ぶのがちょっと気恥ずかしい。要するにズボラをやめようというレベルの話だから。
でもとにかく、ズボラをせず髪を労わる生活を数ヶ月続けてみる。それでも改善が見えず、将来への不安が消えないようであれば、もっと積極的に対策するステップに進もうと思っている。

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もう一つ、向き合わなければいけない「大人」の部分がある。
それは「お金」の問題だ。
夫との同居生活をスタートしたのがきっかけで、最近お金について考えることが増えた。
たとえば、夫より早く起きて家を出て、夫より長く働いて帰宅するのに、夫より給料が少ない自分の今の状況は、何か変える余地があるのかな……とか。
また、数年前に挫折して以来ほったらかしだった、家計簿記帳も再開した。
家計簿をつけていると、やはり収支がよくわかる。おかげで、今の生活を続けている限り、貯金が全然増えていかなそうなことも徐々に見えてきた。
いずれにしろ、「このままでは、将来なんともならなそうだ」というのをうっすら感じ始めたのだ。
今はまだ漠然と感じているだけだけど、2023年は「なんともならなそう」を「なんとかする」ために、何か行動したいなあ……と思っている。

薄毛とお金。この2本立てで2023年を迎え撃つ。全く夢のない話だ。でも、大人になる、齢を重ねるって、きっとそういうことなのだ。