思い返せば2022年、私は様々なことを始めた。
こうしてエッセイを書くことも初めての挑戦だったし、今年も私の人生毎度のことながら職を変えたし、祖母の介護的なものも軽く始まったし――。
1月に投稿した文章には「こんな大人の私が何をしでかすのか」と期待と不安に満ちた私の声があった。
1年前の私に言えることがあるとすれば、今年は思った以上に泣いたし苦しい時間を過ごしたよってこと。それは言い換えれば家族とも他人ともそして自分自身とも大きく深く関わったってことだ。人に磨かれて沢山苦しい思いをしたんだ。

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私は小さい時から感情を表に出すことが恥ずかしく、なるべくクールに生きていたいと願っていた。その方がカッコいいと思っていたから。あと、負の感情を出した後の処理が私にはよく分からなかった。怒ったり泣いたりした後、どんな顔して普通の私に戻ればいいのか分からなかった。
言うなれば、許すという事が私には難しい感情だった。何か不都合が起こるたびに人が許せなかった――というか許したら私が負けたような気がして嫌だった。だけど勝ち負けは無いと、頭では分かってはいた。
そんな矛盾を抱えながら叫び出して全部投げ出したいことなんていくらでも今年は起こった。ずっと避けていたものが噴出するかのように上手くいかない事ばかり……。そのたびに自分の器の小ささに驚きもした。

そんなぐちゃぐちゃした中だったけど、私は自分の精神に合う職場に巡り合った。自分のやりたい事を優先する大切さも学んだ。時間が足りないと思ったのも初めての経験だった。そしていろんな所へ行ってみたいと思ったのも初めてだった。
私の知らない土地で生きている人たちに会ってみたいと思った。きっとそうすれば私の世界がもっと豊かになって、私が理解したくない感情を理解できるヒントが貰えるかもしれない。そんな風に思った。

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私はあまり旅行をしない。観光地は大体SNSで上がっている写真を見た方が綺麗だし、ご当地グルメだって近くのスーパーで買えてしまう世の中だ。行く意味が無いと思っていた。
だけど本を読んだり写真を見ただけでは私の経験にはならない。私の五感で感じることが私の人生の真実なのだと、嫌というほど知った1年だった。だからこそ、そこを避け、興味すら持てずにいた私の経験値はとても低いのだと思った。
低いと行動範囲が小さくなり語彙力が低下する。人と関わることを避けたら経験値は低下する。私はそうやって経験値を下げて生きていた。今までの時間が勿体ないとは思わない。それが私の人生だっただけで。ただ今からは違うってだけ。

2023年――。私はきっと多くのものを見て、色んな人と出会っていくだろう。行動範囲は大きく広がり続け、喜怒哀楽も大きくなる。
最初の行動としてペーパードライバーでゴールド免許の私は運転の練習にはいろうと思っている。祖母の冥途の土産旅行計画には必須なのだ。
世の為人の為、なんて大きなことは言わないけれど、私の周りの人の為、自分の為にちゃんと磨き続ける1年にする。そうありたいと心から願っている。