今年の目標は、「一隅を照らす」になった。
アフガニスタンで亡くなった、中村哲さんの言葉だ。一隅を照らすことに全力を傾けられる年にしたい。
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昨年は、何も成し遂げられなかった年だと思っていた。しかしよくよく思い出してみたら、一昨年より知識は増えた。一人で成し遂げたことは1つもないけど、皆で成し遂げたことはいくつもあった。
進歩はあったのにイマイチだと思ったのは、目標がなくて、ぶれてしまっていたからだろう。だから迷い、立ち止まってしまうことも多かった。なかなか進めない苛立ちから、机に向かうことを放棄することもあった。そのせいで、皆の活動にも遅れが出て、思うようには進まなかった。こんなことで迷惑をかけた、自分が恥ずかしい。
自棄を起こして支障を来さないための言葉が、「一隅を照らす」だ。私の出来ることは小さいけど、自分に出来ることだけしたらいい。あとは周りの人がなんとかしてくれる。素人の私が口を挟むより、専門家やその分野に明るい人に任せたほうがいい。
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昨年の半ば、あるグループの企画担当を任された。発起人である彼氏の許可が出なかったから詳しくは話せないけど、NPO法人に近いスタートアップ企業をイメージしてもらえばいいと思う。少なくない仲間たちが、それぞれの得意なことを生かして、働いてくれている。
全員が兼業という形で、この仕事に収入を期待していない。それでもやりたいと言ってくれる人しか雇っていないし、そんな人が集まったのは有難いことだ。彼氏もサラリーマンの収入で生活していて、活動資金などを集めるために多少の対価を求めるだけだ。私たちはほぼ無償でというわけにはいかなかったけど、これも中村哲さんに倣った。
その活動は企業外にも広がり、いろんな人が自分の仕事の中で出来ることを模索している。その中には、まさかこんな影響力を持つ人まで、と驚くような人もいて、一昨年の私には想像も出来ないことが起こった年だった。これも彼氏の行動力と、周りの善意の賜物だ。
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それでも何もない年だったと肩を落としていたのは、ネットでどう検索してもこうした成果は出てこないし、彼氏の報告を受けて成果を知ることがほとんどなので、彼を疑うと途端に自分のしてきたことが全て無になるからだ。彼氏をもっと信じるべきだったと反省した。
そして、自分一人で抱え込み過ぎていた。信頼してくれているんだから、すべきことだけしたらいい。私に求められているのは、浅く広く知識を得て、そこから企画を作ることだけだ。それ以上のことをする必要はない。専門知識はいらないし、実行部隊の人たちほど詳しくなくていい。
皆がいるのだから、相手を信じ、私の出来ることで補佐することが必要だった。そして彼氏の仲間の人たちに、私も仲間として受け入れてもらえていることを自覚するべきだ。
昔テレビで見て、印象に残っている言葉がある。インドで貧困層に無料で医療を届ける病院列車の医師の「神は私にメスを与えてくださった」という言葉だ。だから人々のために医療の現場で尽くすのだ、という意味だったと思う。
この人は本当に、喜びを持って自分に与えられた役割を果たしているのだろう。私もそうなりたい。
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私に与えられたものは小さいけど、アスペルガー症候群で考えがとっ散らかってしまうことを逆手に取ることで得られた、アイデア力だろう。健常者が何人も集まって、うんうん唸ってやっと1つのアイデアが出せたところを、私はその話を聞いただけで3つくらいのアイデアが出せた。どうせ障害があるなら生かしたいし、特異なものを持つ身として、それを使って社会に貢献することは義務だと思う。
障害のせいで、周りには迷惑をかけてきた。周りとの違いを個性ととらえ、逐一声をかけてくれた母の尽力もあり、自分なりに周りを見て学び、中学生になってからは周りと違うことで困ることはなかった。がっつり障害者でありながら、今の日本社会でも生活に支障がなく、それを生かすことまでできる私は運が良かったんだろう。それでも近しい人たちには、他の人にはない苦労をかけている。
しかし周りの人を見ていて、健常者だってそれはあるじゃないかと開き直るようになった。障害者だから苦労をかけるんじゃなく、健常者であっても苦労はかけるし、それを許せる社会であってほしい。まずは障害についての知識を持つ人たちを頼って、障害のある人と暮らす、働くための、大まかなマニュアルでも作れたらいいのかもしれない。
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一隅だけ照らせば良い。それぞれが一隅を照らせば、全体が明るくなってくる。皆でなら、きっと何か出来るはずだ。
最初は雲を掴むような話だったけど、夢もやっと形になってきた。そしてそれができるのは、私たちを支えてくれる周りの人たちのおかげでもある。それは誰かに照らしてもらっているということだろう。一隅だけでいいというよりむしろ、欲張ってはいけないという戒めの言葉だと思う。
私のすべきことは、とにかく情報を集めて案を出すこと。たったそれだけだけど、それが私の役割だ。