私は、大切な日に文章を書く。文章を書き、何らかの媒体でその気持ちを伝える。
文章を書くということは、文章が見られるということだ。文章が見られるという点で、書き言葉は話し言葉よりも気持ちを伝えるのに長けている。
そのため、私は大切な日に、文章を書くことにしている。
◎ ◎
私は恋人と、付き合いたてのころから記念日や大切な日に、手紙を書く約束をしている。もう1年以上付き合っているため、贈った手紙も、もらった手紙もたくさん増えた。
そのことを周りの友人に話すと驚かれる。しかし、この手紙を書く約束をしていることが私たちの仲をより強いものにしている。
これまで付き合っていて、楽しいことばかりの月もあれば、お互いに余裕がなく、喧嘩ばかりしていた月もあった。しかし私たちはその月に何があっても、手紙を贈ることだけはやめなかった。
その月にあったうれしかったこと、いやだったこと、こういうところが素敵だと思ったこと、これだけはやめてほしいと思ったこと。付き合っているからには、良いことでも悪いことでも、感じることや思うことはたくさんある。そのことを伝える機会が必要だと考え、手紙を書くという約束をした。
実際に手紙を交換して読むと、自分の無意識にやっている良い行動に気づけてうれしくなったり、むしろ反省したりした。こうして自分では気づけないことを、手紙を通して伝えてもらえた。
「思ったことをそのままにしない」という付き合いの上で大切なことを、文章を書くことで、よりしっかりできている。私たちはこの手紙のおかげで、いろいろなことがあっても仲良く付き合えている。
◎ ◎
手紙を書くということは「めんどくさい」と思われがちであるが、実際書き始めると意外とすぐに書けるものでもある。また、ただの紙1、2枚なのに、すごく価値のあるものに変わる。多少置き場に困ることもあるが、もらえると嬉しいものでもある。
実際に私は彼と手紙を交換していてよかったと思う。手紙という媒体を通すだけで、直接話すよりも心が温かく感じる。「気持ちが伝わるとはこのようなことを言うのか」と強く感じる。
文章を書くことは、文章を話すことよりも気持ちが伝わるのだ。
また、手紙を書く習慣が彼のおかげでついたため、彼以外にも手紙を書くことが増えた。たとえば、祖母や、父母に対してだ。
私は今年二十歳を迎えた。そのため、私を今まで大切に育ててくれた、祖母、父母、に対して、感謝の手紙を書いた。
前までは、家族には感謝していても、なかなか感謝を表す機会がないと感じていた。そんなときにぴったりだったのが、手紙だった。普段仲良しでも、しっかりとした感謝を伝えることができないでいた家族。手紙を渡すと、ものすごく喜んでくれた。
◎ ◎
文章を書いて渡すだけで、人をこんなにも喜ばせることができるとは思っていなかった。私は文章を書いて、手紙として渡す習慣ができてよかったと思う。
これからも些細なことでも、小さな記念日でも、大切な人に変わらず手紙を書き続けようと思う。