コロナ生活で変わった、人との距離感といえば……人との触れ合いだと強く感じる。
そして、「人との触れ合い」という一言では言い表せない。なぜなら、その「人との触れ合い」の中には、多くの場面が含まれると私は考えるからだ。

私にとっての「人との触れ合い」は、マスクの下の笑顔も、挨拶も、握手やハグのスキンシップも、会食も、心の感情も含めた全ての表現や体現だと思う。
まさに、「人との触れ合い」=「人との繋がり」だと強く思う。

◎          ◎

日本ではどこに行ってもマスク姿の人を見るが、驚いたことにアメリカでは誰一人としてマスクなどせず、公の場でもマスクをしている人が逆に目立つくらいだ。
コロナが流行って丸2年は日本でマスク生活に閉ざされていた私だったが、アメリカで改めてマスクなしの生活に戻ってモヤモヤしていた心がスッキリした。
マスク生活で隠されていた表情、密集・密接の回避で半強制のステイホーム、外食での壁の仕切、ひたすら人を孤独にさせ息苦しく過ごしていた私の世界が180度覆った。

年配の人と会うときは特にハグやフレンチキスが挨拶として多いアメリカで、人と人との温もりや愛を2年ぶりに心で感じることができた。
「こんなにも、人の心は温かかったんだ……」と、長い間忘れていた大切なものを取り戻すことができた瞬間だった。
それと同時に、母国の家族や友達はまだマスク生活が続いている話を聞いて、切実にコロナ前のように誰もが自由に、半強制ではなく任意でのマスク生活に戻ることを強く願うようになった。
全ては、コロナ生活で変わった、マスク生活で変わった、三密回避で変わった、人との距離感を取り戻すために。

人と違ったり個性を主張すると仲間外れにされるような、「人と違うこと」をよく思われない、トップダウンの多数意見が尊重され続ける母国が、先進国なのにどこか時代の流れに乗り遅れているとも感じた。
アメリカではもう誰も、メディアがコントロールしてるコロナの情報なんか気にしていないし、その話で盛り上がることもない。
まるでコロナなんてなかったかのように。

◎          ◎

4月には、両親・友達と揃って、私の結婚式のために日本からアメリカに来てくれる。
コロナ生活で変わった私の大切な人たちが、ここに来て「人との距離感」を取り戻してくれることを、私は心から楽しみにしている。
笑顔が見える世界、温かいハグを感じられる世界、会食を心から楽しめる世界、思いっきり呼吸ができる世界、4年前のコロナ生活になる前の世界に。

人との距離感が、人との心の距離感をも感じさせるように、誰もがより寂しさや孤独を感じる閉ざされた世界から解放されたい。
言葉にしなくても誰もが抱いている先の見えない不安感や、見えないプレッシャーから解放される世界に。
コロナ生活で変わった、人との距離感は、「人と人との触れ合い」=「人と人との繋がり」を明らかに途切らせてしまったのだ。