わたしには、尊敬する友人がいる。
彼女とは、高校1年生の時に出会った。
◎ ◎
入学式、隣の席だった子と仲良くなった。
数日後には席が近かったメンバー5人でお弁当を食べたり、昼休みに一緒に過ごしたり、移動教室の時に一緒に移動したり、何気ない平和な日々を過ごしていた。
そんなある日、突然訪れた違和感。
昔から人の変化に敏感だったわたしは、すぐに察知した。
いつも一緒に過ごしていた4人の友達が、わたしを避けるようになったのだ。
初めは気のせいだと思い、何事も無いかのように話しかけた。
相手の反応を確認するかのように、わたしは積極的に話しかけ続けた。
でも、日に日に大きく変化していく4人の態度。
お弁当の時間になると、わたしが話しかける前に4人で席を囲むようになり、昼休みになると、わたしが話しかける前に教室から居なくなった。
初めは必死に近付こうと一生懸命だったわたし。
でも、それがどんどん惨めで、苦しくて、悲しくて。
ある日突然、やめた。
それから過食に走る日々。
当時、家にも居場所は無くて、部屋にこもっていた。
家族にも話せず、誰に相談することも無く、ただなんとなく毎日が過ぎていった。
◎ ◎
そんなある日の放課後。
いつも通り、1人で教室を出ようとした時だった。
彼女が少し照れた表情で話しかけてくれたのだ。
「○○の友達だよね?駅まで一緒に帰ろう」
それが、彼女との出会いだった。
中学時代、塾で仲の良かった別の中学の女の子と同じ学校だった彼女。
わたしも彼女も電車通学で隣町から通っていたので、その日から毎日、一緒に登下校するようになった。
彼女は、すでに数人の友達と仲良くなっており、学校内でも一緒に過ごしてくれるよう、他の友達にも話し、そこからみんなでご飯を食べたりするようになった。
彼女は、クラスでも全員と仲が良く、男女問わず人気者だった。
クラス内だけにとどまらず、他のクラスの子からも、すれ違うたびに声をかけられていた。
頭も良くて可愛い彼女。人気者の彼女。
自分に自信の無かったわたしは、少しずつ隣にいることに不安を感じていった。
こんなわたしが隣にいていいのだろうか?
なんでこんなやつが隣にいるんだ!と思われていないだろうか?
それでも彼女は、いつもわたしに優しかった。
ネガティブなわたしに、いつも前向きな言葉をかけてくれた。
どんなに嫌なことがあっても、どんなに失敗しても、いつも笑っている彼女。
いつも楽しそうで、いつもキラキラしていて、同じ同級生とは思えないほど眩しかった。
◎ ◎
2年生になり、彼女とクラスが離れた。
わたしの全ては彼女だったので、彼女のいない日々に不安と恐怖で泣いた。それでも彼女は「○○なら、きっと大丈夫だよ」と励まし続けてくれた。
なんとか友達もでき、平和に過ごすことで必死だった高校時代。
卒業後は、それぞれ地元の会社に就職した。
彼女は、相変わらずキラキラしていて、わたしは、相変わらず彼女を羨む日々。
彼女と何が違うのか?どうして、こんなにもキラキラしているのか?
比較しては悲しくなり、また自分が嫌になる。
そんな時ふと、気が付いた。
「人を羨むのでは無く、まずは自分自身が笑って過ごそう!」と。
自然と人を惹きつける彼女は、いつも、どんな時でも笑顔だった。
どんな事でも楽しんでいて、笑顔じゃない日が無い!という程、毎日とても楽しそうだった。
わたしも、まずは毎日を楽しもう。楽しくなくても、とにかく笑っていよう。
そんな小さな小さな意識が、わたしの人生を変えた。
外回りをしていたわたしは、毎日たくさんの人と顔を合わせていた。初めは仕事をこなすことで必死だったが、次第にお客様ともコミュニケーションをとることが出来るようになり、自然と人見知りも克服された。
そして担当営業から、わたしのファンがお客様の中にちらほらいる!と褒められたのだ。
初めは信じられなかったが、お客様から直接「いつも笑顔が素敵ね~」「笑顔で丁寧に対応してくれてありがとう」と言っていただけるようにもなった。
そこから仕事が楽しくなり、更に笑顔も増え、お客様からも「担当変わらないでね!」とまで言っていただけるようになった。
◎ ◎
初めは、羨ましいと思っていた彼女。
そんな彼女に話しかけられたあの日から、わたしの人生は変わった。
どうやったって届かないと思っていた彼女。
彼女のようにはなれないと諦めていた日々。
でも今は、たくさんの人から「毎日楽しそう」「いつもニコニコ笑ってるよね」「羨ましい」と言って貰えるようになったのだ。
わたしを救ってくれた彼女。
前を向くよう、背中を押してくれた彼女。
泣きながら話すわたしを慰めてくれた彼女。
いつもネガティブなわたしを褒めてくれた彼女。
「可愛くて、友達になりたいと思った」と言ってくれた彼女。
今の前向きなわたしがいるのは、彼女のおかげ。
出会った日からずっと尊敬する人。
この先も変わらず尊敬し続ける人。
彼女の生き方は、わたしにとっての教科書で、
参考にしながら、わたしも前を向いて歩いてく。
どうか彼女が、この先の人生も笑って過ごせますように。
そしてそんな彼女の近くで、笑って前を向いていけますように。
この先も一生変わらない大切な友達。
それが、わたしの「推したい友人」だ。