拝啓、10年後の貴女へ

今、どこで何をしているだろうか。
心から笑って過ごせているだろうか。
「貴女らしさ」という永遠の問題への答えを、少しは見つけられているのだろうか。

今、私は10年前は想像も出来ていなかった土地で、想像も出来ていなかった仕事をして日々を過ごしている。
この10年間、沢山の、本当に沢山の経験や出会い、別れがあった。
もしかしたら、これから先の人生の中で「最も濃い10年だった」と言えるかも知れない。

それでも。
この10年間の道のりが、果たして正解だったかは、今の私には分からない。
きっと、それが貴女には少し見えているんじゃないかな。そうであって欲しい。そして、「正解だった」と言えるものにするために、これから先の10年を踏ん張って過ごしていきたいと思う。

◎          ◎

地元を発ったあの日。
東京に着いたあの日。
就職を決めたあの日、
人事異動を受けいれたあの日。

沢山の人生の分岐点に立った時を思い出してみて欲しい。いつもそばに居て、支えてくれたのは、家族の存在だった。
「私たちはいつも、𓏸𓏸ちゃんの応援団長だからね」
その言葉に、何度救われたことか。

特に母には、沢山の愛ある言葉を与えてもらった。
「𓏸𓏸ちゃんが笑って過ごせていたらそれが家族の幸せ」とずっと言われて育ってきた。本当にそれが、心の支えというか、人生の方位磁針になっている。

◎          ◎

でも。
今の私が、心から笑って過ごせる日々を過ごせてはいないこと、貴女はわかっているはず。気づいて、見て見ぬふりをしていると思う。
それが、苦しいんだよね。言えなくて辛いんだよね。周りの誰にも。心配をかけたくないもんね。理想と現実のギャップがなかなか受け入れられない。

人間としての年数。
社会人としての年数。
順々に巡ってくる、ライフキャリアの壁。
頑張って乗り越えようとする度に、繰り返す自問自答の日々。
貴女は、どうやって乗り越えたのだろう。
教えて欲しい。
或いは、「乗り越える必要」があるのかどうか。あってもなくても、この自問自答の時間の中に、意味が見いだせているのか。そうであって欲しい。

◎          ◎

今の私が、未来の私に求めること。
それは、「心から笑っていて欲しい」ただそれだけだ。
どこで、誰と、何をしていてもいい。今から予想していたって、大概外れると思う。

大事なのは、「本当の私、で過ごせているか」ということ。貴女らしさ、はそこにある。

多分、この世の中は「愛想笑い」が上手くなければ、世渡り上手にはなれない。「上手く」やり過ごせていけない。「上手く」なくていいんだよ、と、貴女へのこのエッセイを通して今の私に伝えたい。「上手く」やり過ごせたその先の関係性が不毛なものが多いことなんて、多分彼女はわかっているはずだから。

大丈夫。貴女には、一番信頼できる応援団長が6人もいる。そして、何より私自身がいる。大丈夫。未来の貴女が、少しでも自分らしくいられるように、私は努力を続けていく。楽しみに待っていて欲しい。