私が彼に初めて手料理を作ったのは5年前だった。その時は実家に住んでいて、料理が苦手だった。
パウンドケーキやクッキーなどのお菓子を作るのは好きだったけど、どうにも包丁のあの鋭い感じと、指を切るかもしれないという恐怖で、どうしても作る気になれなかった。お菓子は、材料をきっちりとはかって混ぜさえすればできるし、楽しいよと姉から教えてもらったのもあって、得意だった。
しかし、料理だけは何かと包丁で切って、茹でて、焼いて、調味料を入れるという、その工程の多さに5年前の私は、目を回してしまった。当時の私は、料理だけはカップ麺とかで何とかなるだろとよく言っていた。
しかし、彼氏が私の作ったオムライスを食べたいと言ってきた。これはどうしたらいいのかと途方に暮れた。ここで助け舟が来た。私の母だ。
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母に横についてもらいながら、オムライスの作り方を教えてもらった。
玉ねぎを切るときは、目が痛すぎて涙が出た。そのあと、ウィンナーや人参を切るときも、目がしょぼしょぼして、危うく指を切りそうになった。切った野菜を炒め、冷めた白ご飯を加えて、ケチャップを混ぜこんで炒め、ケチャップライスの完成。卵を溶いて、塩こしょうをして、焼く。
このようにして、2時間かけてできた大作…は、中のケチャップライスは冷めきり、上に焼きすぎた薄い卵焼きをのせたものだった。
実家で作ったオムライスを、彼の家まで持っていき食べた。彼はおいしいと言ってくれたけれど、私は納得いかなかった。もう少し家の手伝いとかして、料理をやっておけばよかったと後悔した。
でも、これがきっかけで、料理に目覚めることになるなんて、当時の私は思いもしなかっただろう。
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彼からオムライスをリクエストされて1年たったあと、私は料理の面白さに目覚めていた。彼も自分でちょこちょこ料理をする人だったので、彼から一緒に料理を作ろうと言ってくれたり、彼が美味しいスープを作ってくれた時は、わたしも負けてらんないなと料理に興味が出た。
まずは、簡単に作れそうなサラダから作ってみようと試しに作ったところ、家族や彼から美味しいと好評だったので、調子に乗った私は、他の料理もレシピを見て挑戦する決意をした。
そのあとから、包丁の使い方はゆっくり刃を動かせば、指が切れないと気づくこともできた。
サラダは、とにかくツナとトマトときゅうり、レタスかキャベツを適当に切り、ごまドレッシングとマヨネーズ、ポン酢を自分の好きな量を適当に入れて混ぜれば、美味しいものができるとわかるようになった。
料理初心者はとにかく最初は、基本のレシピを大事にして作れば、うまくできると学んだ。
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もちろん料理の失敗も何度もした。りんごサラダという名のりんごを大きく切り、入れただけのサラダを作り、彼を困らせたこともある。彼は苦笑いをしながらも、全部食べてくれた。
冷凍の鳥の骨を使ったスープを作ったが、味はまずく臭みもあって食べられなかった。調味料を小さじ、大さじではかるのが面倒くさく感じ、目分量でやったら、しょっぱくなりすぎてしまったり、逆に味が薄かったりと本当に数々の失敗を繰り返した。
もちろん今でもやらかすことはたくさんあるが、失敗は成功のもと、次からこうすればいいのかと解決策を学んでいる。
最近は、3食すべて作るのは、本当に私にとっては大変なので、お味噌汁を2倍の量で作り、冷蔵庫に保存している。次の日に、保存していたお味噌汁とレトルトのご飯を電子レンジでチンして、朝ごはんにすれば楽だ。
めんどくさい時は、冷凍食品やカップ麺を食べる。スーパーのお惣菜も安くなる時を狙って買いに行き、晩御飯にそれを食べる。
たまに外食するときもある。なるべく安くて美味しいお店に行くようにもしている。
料理は、めんどくさいけど、美味しいものを食べれば元気になれる。無心で作って、美味しいものが食べられるなんてお得かもなんて思う、今日この頃。