皆さんは、自らの若さや、女であるということを武器にしたことがあるだろうか。

私は、ある。

自らの価値を意識して、利用した。ずるかったかもしれない。けれど、後悔はしていない。今回はその話を書いていきたいと思う。

◎          ◎

北海道で日曜の夕方に放送されている、ローカルのバラエティ番組がある。
毎週見ていたわけではないのだけれど、テレビがついていたのでボーッと眺めていた。確か高校2年生のときのことだ。

番組終わりに、視聴者プレゼントのキーワードが発表された。贈られるのは、鍋と、カレーのスパイスのセット。
暇だったので、番組ホームページから応募フォームをひらいた。名前や住所、キーワードの他に、感想を書く欄があった。

私は、考えた。

日曜の夕方に放送されているローカル番組。出演者はローカルタレントのおじさん達。この番組を見て、更に視聴者プレゼントにまで応募する若い女の子は、きっと少ない。
これを利用しない手はない。そう思い、スマホのキーボードを叩いた。

「毎週楽しく見ています( *´꒳`*)
いつもは視聴者プレゼントに応募はしないんですが、カレーが大好きなので初めて応募しちゃいました(笑)当たるといいな!
来週の○○回も楽しみにしています(^^)」

最大限、女子高生らしさを意識した文章だ。当然、普段はこんな文体ではない。
特にこだわったのは、カレーの部分だ。カレーが大好きな女子高生。なんとも可愛らしいだろう。
これで顔写真の添付なんかがあれば興ざめだが、もちろんそんな必要は無かったので、この番組のスタッフさん達はカレー好きのスレていない可愛いらしいセーラー服姿の少女を思い浮かべてくれたのではないかと思う。

◎          ◎

そして1ヶ月ほど経って、自宅にカレーとスパイスが届いた。わーい。と、これだけなら、たまたまじゃない?と思うかもしれない。

なんと、2回目があるのだ。

数ヶ月経って、また同じローカル番組をボーッと見てたら、今度は電子レンジで使える圧力鍋のプレゼントがあった。もちろん、応募した。
今度は、「電子レンジ専用の圧力鍋、どんな感じなのかすごく気になります、、!」みたいな感じの文章にした。知的好奇心に溢れた女子高生としてのアプローチである。
当たった。
数週間後に、電子レンジ専用の圧力鍋が、私の元に届いた。まだ、前回の当選から数ヶ月しか経っていないのに、だ。

しかも、2回目は母も一緒に応募していたのだ。うちの母はそういうのに本気を出すタイプだから、結構しっかりした感想書いていた。その日の番組内容にちゃんと触れた、長めの感想を。
なのに、まだ1度も当選していない母ではなく、数ヶ月前に当選したばかりの私宛てで鍋が届いた。
これはもう、私の女子高生演出にまんまとハマってくれたとしか思えない。
もしくは、私と鍋との相性がいいのか……。

◎          ◎

しかし、なぜ2回とも鍋なんだろう。別にこのローカル番組は鍋や料理の番組ではないから、毎回鍋しかプレゼントしていなかったわけではないと思う。
私はこういうのに当たった経験はこの2回しかないから、唯一当たったものが鍋二つということになる。なぜ……。当たっただけ嬉しいし、いいけど……。

ちなみに、今もこの番組はやってるけど、視聴者プレゼント企画は無くなってしまった。かなしい。だから、もうこの番組から物を貰うことは出来なくなってしまった。
まぁ、無くなっていなかったとしても、女子高生期間が終了した私にはもう何もくれなかったかもしれないけれど。

ちなみに、私は先週から一人暮らしを始めた。母は2つの鍋を使わずに保管しておいてくれていたので、ようやく開封した。過去の自分が女子高生ブランドを利用した生活として、大切に使っていきたいと思う。
(ローカル番組のスタッフさんへ。
もし、完全にランダムに選んで当選させてただけとかだったら、女子高生大好きおじさん扱いしてごめんなさい)