約2年前、中学からの友人が最近仕事を辞めたらしいという話を共通の友人から聞いた。
その子は看護師で真面目な性格だったため少し驚いたが、まぁ今の時代、転職なんて珍しいことじゃないしな〜と軽く思っていた。
実際、私も新卒で会社に入ったばかりにも関わらず2〜3年後には転職しようと考えていた。

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しかし、いろいろと話を聞いていくうちにただの転職ではないと分かった。

というのも、その友人と近況報告を兼ねて久しぶりに会うことなったのだが、話し方や性格が明らかに明るくなっていた。

明るくなった、といえば聞こえはいいが、なんだか少し無理しているようで違和感があった。
「今なんの仕事してるの?」
「うーん、説明しずらいんだけど美容関係の仕事してる!」
どういう仕事をしているのか、どこで仕事しているのか聞いても、なんだか歯切れのない回答だった。 
「実は私も転職したいと思ってるんだよね」
そう言った瞬間、友人は急に饒舌になった。
今の時代、会社員は不安定だとか、権利収入を得て楽に暮らしたくない?とか、権利収入を得られたらこんな贅沢ができるよ!といった話をキラキラした目で語った。

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直感的に「怪しい」と思った。

何かに洗脳されてるような、自分の言葉ではなく誰かに言わされてるようなそんな怖さがあった。
「〇〇ちゃんも転職考えてるなら、今私が働いてる会社の説明会あるから行ってみない?」
どんな仕事をしているのかも具体的に教えてくれないのに説明会に誘われたことに驚いた。
「なんていう会社なの?」
とりあえず、会社名を聞いてあとからネットで調べようと思ったのだが、
「ごめん!会社名はコンプライアンス的に教えられないんだ」
え???会社名も教えてもらえないのに説明会来いってこと???
その一言で「怪しい」は確信に変わった。

それからも何度かセミナーや説明会の勧誘をされたが、きっぱり断った。
持ち物や化粧品で某マルチ商法をしていると分かったからだ。

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勧誘されたことも悲しかったが、真面目だった友人が取り憑かれたように、マッチングアプリや相席屋に通い、なんの悪びれもなく勧誘活動をしていることが何より悲しかった。

SNSや話を聞いてる限り、マルチ商法をしている目的はお金を稼ぐことだけではなく、マルチ仲間とセミナーや勧誘目的のためのバーベキュー、パーティーなどが承認欲求を満たしてくれる、精神的な面が大きいと感じる。

そんなもののために何十万、何百万を注ぎ込んでいるなんて、なんて愚かだと感じるが、今もなお、いつか友人が目を覚まし、本来の友人関係に戻れるかもしれないという希望を捨てきれず、縁を切れない私も愚かなのかもしれない。