私の今の夢は、文章を書く仕事をすることだ。例えばライターとかそういうもので、文章を書くことで生計を立てられれば実質なんでもいいと思っている。
昔からこの夢を持っていたわけではない。私の夢は少しずつ年齢を重ねるごとに変わってきた。
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学生の頃の最初の夢は弁護士。明確な理由があったわけではなく、ただなんとなくかっこよかったからだ。ろくでもないが働くということをよくわかっていないから、仕方ないのかもしれない。
次の夢は翻訳家。英語が好きだったからだ。でも高校生で目指すのは少し厳しいか、などと思い諦めた。そこから大学四年まで夢はなかった。
大学四年になって就活を終えて、あまりにも時間を持て余していた時、大学の図書館に入り浸っていた私は、小説を読みながら、私って小説家になりたかったのかなあと思った。文章だけで人を感動させられるすごさと、一人で仕事を出来る自由さが良いなと思った。あくまでも読者側の勝手な想像だから想像とは異なる部分も多々あるであろう。また、小説は娯楽であるから、自分の書いた文章が他人によって消費されるのが良いな、とも思っていた。
一応公募なども出してはみたが引っかからず、普通に就職をして今に至る。なんの変哲もない会社員だ。今の夢は小説家、ではなく文章を書く仕事である。小説以外にも文章はあるし、文章を書くということ自体が好きだからだ。
だから、こうしてエッセイを書いたりもしている。学生の間は、勉強があるから文章を書く機会は幾度となくある。だが、就職すると仕事にもよると思うが、そういう機会はなかなかない。就職してしばらくは、普通に仕事をして文章とは縁がなかった。
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私ってそういえば文章を書くのが好きだったんだよな、とふと思い出した。今の仕事がしたいことと違うからといって、じゃあ辞めるというわけにもいかない。では私に出来ることは何か、と思った時にこのエッセイしかり、とりあえず文章を書いてみることだった。
かがみよかがみにエッセイが初めて採用されたのは、もう二年前だ。採用されると思わずに、出してみるか、それくらいの気持ちで書いてみただけだった。後日、採用ですという旨のLINEが届いて本当に驚くと共にとても嬉しかったのを覚えている。自分の文章に反応をもらえることはこんなにも嬉しいことなのだと知った。
それから今まで、書けるテーマの時はなるべく出すようにしているし、noteというSNSでもちゃんと記事を書くようになった。
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今、私がしていることはきっと大学生の時に比べたらとてつもない進歩だ。数年間エッセイの公募を出している。出したエッセイは記憶に誤りがなければ、全て採用されている、恐らくだが。すごいと思う、我ながら。そして気が向いたらnoteを書いている。いいねが来る。ごくたまに、コメントもくる。つまり、私の記事が誰かの暇つぶしになって、誰かに届いているのだ。夢の一部が叶っている。
今はまだ趣味にとどまっているから、これが仕事につながれば、そう、夢が叶ったと言える。正直、夢を叶えるための具体的な方法はよく分からない。
夢が叶っていないからこそ、夢を見ることが出来る。夢と全く関係のない仕事をしているからこそ、自分のしたいことが何なのかがわかる。夢と現実の境は、あまりにもはっきりとしている。
夢が私に現実を見せる。現実が私に夢を見せる。
人が想像できることは、実現できる、と誰かが言った。夢が夢のまま終わらぬよう、私がしてきたことの何かがいつか実を結ぶといい。