2022年は、今まで生きてきた中で一番苦労した1年であり、同時に成長できた年でもある。
過去のエッセイ「卒論も就活もあるけど、『頑張るって言わない(極力)』を目標にした」や「春は来なくていい。でも、心を守ったんだから復学しようじゃないか」にも書いたように、私は適応障害と診断され、休学していた。
今年度から復学していたが、正直4月に復学してからずっと、こんな状態でどうやって大学生活を送ればいいのか、多忙な4年目を乗り切れるのか、毎日不安で仕方なかった。しかも、適応障害になった原因の一つが卒論関係だったため、本当に向き合っていくことが怖かった。
◎ ◎
そんな今年、私は3人の存在にずっと支えられてきた。
1人目は、大学の学生相談室と呼ばれる部署のカウンセラーさんだ。仲の良い友達がおらず心細かった私は、4月からずっとカウンセリングを受けながら大学に通っていた。
自分が適応障害であること、卒論と向き合うのが怖いこと、毎日鬱状態なこと、不安を抱えていることなど、話したいことは全て話した。
まとまらない考えや他人からしたら本当にくだらない悩みを真摯に聴き、そして温かい言葉をくれたカウンセラーさん。どんなにマイナスなことを言っても、私の悩みに寄り添い、そして常にプラスな面を見つけてくれる。これにどれほど励まされたことか。
私を担当してくれたカウンセラーさんは、私より少し年上の女性で優しいお姉さんという雰囲気の方だ。悩みを正直に打ち明けることのできる存在がいることや、定期的に不安や悩みを吐き出せるという習慣がとても支えになっていた。
◎ ◎
2人目はゼミの教授だ。
実は、私は途中でゼミを変えた。卒論の進捗を考えると変更するのはギリギリセーフか否かの時期に、自分が卒論で取り扱いたいテーマが変わったからだ。だから、そのテーマで研究が進められそうな教授のもとへ、受け持ってくれるかをお願いしに行った。
自分が扱いたいテーマのこと、そして自分が適応障害であること、その上でゼミに入れてもらえるかを面談してもらった。その結果、私の話に耳を傾け、私の精神面も含めて「いいよ」と返事をして下さったのだ。
それだけでも凄く有難いことだったが、それだけじゃない。
常に私の精神面を気にかけてくれた。無理していないか、しんどくないか。もし気持ち的にしんどいならと、お勧めのメンタルクリニックまで紹介してくれた。
なんでこんなにも理解があるのか不思議でならなかったが、実は一時期、教授の家族も精神的な不調に悩まされ、一緒に闘ってきたことがあると打ち明けてくれた。だからか、と納得したのと同時に、こんな私にも同じように理解を示してくれることがとても有難かった。
論文が進まない時期も責めたり、呆れたりしなかった。どうすればいいか丁寧にアドバイスをくださったり、ちゃんと眠れてるか、食事は取れているのかを常に気にかけてくれた。
教授のおかげで、ゼミや論文と向き合うことへの恐怖心が和らぎ、結果的に私は卒論を完成させることができた。これは本当に教授が、私を「やる気のないダメな学生」だといって諦めずに指導してくれたおかげだと思う。
今は、教授が勧めてくださったメンタルクリニックに通い、薬を処方してもらっているので精神的に安定した日々を送れている。これもすべて、ゼミの教授が受け入れてくれたおかげだ。
◎ ◎
3人目は(3人目という表現はあっていないが)、家族のみんなだ。母も父も、姉も妹もみんながずっと励まし続けてきてくれたおかげで、私は諦めそうになった時でもなんとか自分を奮い立たせることができた。
私は復学した当初、本気で心が折れかけたことがあり、泣きながら家族に電話した。すると、地元からわざわざ母と妹が東京へ来てくれ、私が1人にならないように数日間一緒に過ごしてくれたことがあった。
私はあの時初めて、助けを求めたら飛んできてくれる心強い味方がいることを知った。そう、私には心強い味方が常にそばにいるんだと、身をもって感じた。
家族の優しさが、私を常に支えてくれるその温かさがあったおかげで、今はこうして穏やかに過ごせている。
以上のように、3人の存在から沢山の優しさをもらったおかげで、以前よりも精神的に安定できている。ダメな私でも受け入れ、味方でいてくれた皆さんには感謝しかない。
◎ ◎
それと同時に、自分自身が前よりも成長したことを挙げたい。
2022年の私は、素直に自分の気持ちや弱音を他者に吐き出せるようになった。以前の私は、何でも一人でやれると、やれなきゃダメなんだという考え方に囚われ、誰かに相談したり、家族にすら素直にしんどさや苦しさを打ち明けることができなかった。自分の弱さを打ち明けることが恥ずかしかったからだ。
でも今は違う。周りの支えや助けがあるから自分が存在できていることを学んだ。ちゃんと辛い時は辛いと弱音を吐けるようになったし、自分が適応障害であることや自分の精神状態についても、家族に素直に表現できるようになった。
少しずつ自分の本心を打ち明けられるようになったこと、それが私の成長であるように思う。そうやって成長できたのも、沢山の優しさに触れられたおかげだろう。
今の私が少しずつ回復への道を歩めていくことができるのも、3人の存在のおかげだ。そんなふうに変わることができた自分をちょっと誇りに思いながら、私は2023年へと歩みを進めていこうと思う。