「何のために頑張るの?」
そう聞かれて、はっきり答えられる女性は世の中にどれくらいいるだろうか。

お金が欲しいから、仕事を頑張る。
彼氏が欲しいから、自分磨きを頑張る。
健康でいたいから、ジムに行く……。

何かをするには、大抵理由がついてくるものだ。
では私は、今、何のためにがむしゃらに頑張っているのだろう?

私、29歳。世で言うアラサー世代。
30歳を目前にして、今更20代の輝きを誇らしく思う一人の女。 自分勝手でわがままで、だけど人に気を遣い過ぎて疲れてしまう。 人と話すことは好きだけど人は嫌い。

そんな私は、去年離婚した。
2人の未就学児を連れての離婚は、私を悪い女にさせた。 あんなに愛し合って一緒になったはずの元夫を憎らしく思い、絶対奴より幸せになってやると意気込んだあの日。 結局私はまたどうしようもない男を好きになるのだが、それは別の話。 

◎          ◎

人には言えない秘密を抱える、悪い女。 だけど今思えば、『良い子ちゃん』でいた日なんてなかったかもしれない。

親の言うことは大体守ってこなかったし、悪い恋愛もたくさんした。 仕事もろくに続かず、友達も決して多くない。 優等生で、素直で、『良い子』な私は存在しなかった。 けれど私なりに一生懸命生きてきた自覚はある。 そんな、愛すべき悪い自分。

友達からは、優しくて落ち着いているとよく言われる。
ううん、違う。 怒らないだけだ。人にさほど興味がないだけだ。
「〇〇ちゃんは大人しくていい子だね」
それって本当にいい子? 自分の意見をはっきり言えないだけじゃないの?

私からすれば、分け隔てなく自分の考えをしっかり相手に伝えられる人の方が、潔くていい子に見えるけど。 何度もそう思った。
でもそれすらも相手に言わなかった。 結局私は面倒くさくて逃げていただけだ。

そんな、愛すべき、悪い女。 

◎          ◎

だけど、こと恋愛に関しては、そうもいかなかった。 たくさん傷付き、たくさん泣いた。
誰かと別れる度、もう恋なんてしないと思うのだけど、気付けばまた人を好きになっている。 

彼氏ができれば、その先は結婚か別れしかない。 付き合ってから友達に戻ることはできなかったから、その二択だ。
女友達は優しいから、私が意見を言わなくても察してくれたり、受け入れてくれる。 だけど男性はそうもいかない。 気持ちを伝えない私に愛想を尽かし、不信感を募らせるだけだ。

ああ、ここでも、意気地なしの悪い女。
優しいふりをして、相手の出方を待っている。 臆病なふりをして、ただ目の前のことから逃げているだけ。 頭の中には言いたいことが溢れるくらいたくさんあるのに。 言葉が出ない。上手く伝えられない。だから、言わない。 

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何をこんなに頑張ってきたのだろう。 この先、何のために頑張れば良いの?
こうやって、パソコンに向かってエッセイを書き続けることが、唯一の私の気持ちの発散方法だ。 ちぐはぐな言葉を並べて、ここには私の生きた言葉たちがいる。

ああ、悪い女。愛すべき悪い女、それが。 これからも、どうぞよろしくね。