生理に関する話題を異性の同僚と話したことがある人はどれだけいるだろうか。
この質問をふと思い立った私は、目の前にいた職場の男性同僚に質問を投げかけてみた。
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「女性の同僚から、生理中であることを伝えられたらどう思う?」
そのときに、なんとも運悪く私の前にいて、突然の質問を受けた彼はややたじろいでいたが、少し考えた後、答えてくれた。
「急に生理中です!って言われたら困るけど……(笑)うーん、生理であることを伝えられた方が状態がわかるし、こちらとしてはありがたいかな」
「体調や精神の状態がよくない理由が、どこにあるのか分からない方が、こちらからすると気を遣うかも」
個人的に彼の回答はとても意外なものだった。
私としては、「生理であることを打ち明けられても困る」という男性が大多数だろうという偏見を持っていた、良い意味で裏切られた気分だった。
彼曰く、「女性と真剣にお付き合いしたことがある人や、女性のきょうだいがいる人であれば、大変さが分かることも多そう。だから『生理』であることは直接伝えてもらったほうが、どう気を遣えば良いのかもわかるし、良い。伝えづらさもあるかもしれないけど」とのことだ。
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全ての男性が彼の意見に同意するわけではないかもしれないが、「伝えられた方が良い」と思っている人がいることは、私にとって大きな発見だった。
とはいえ、そこまで理解力がある人が多いのだろうか、という疑問も拭いきれない。
あまり納得していなさそうな私の様子をみながら、彼は続けた。
「もちろん今だって生理の大変さを100%理解しているとは言えないけど、高校生のときに色々知ったんだよね」と付け加えた。
彼の場合は、高校生の時の彼女が生理で苦しんでいる様子をみて、どういうことなのかを知ったそうだ。そして、彼女の生理中はどう振る舞うべきか、当時の女友達から指南いただいたらしい(話を聞きながら、私は、彼自身も彼の女友達もなんと素晴らしいのだ、と勝手に感動していた)。
続けて、「とはいえ、自分は母も姉もいるけど、そんなに生理が辛いものって知らなかったんだよね」と彼は言った。
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彼の言葉に、私ははっとした。
私にも弟がいるが「生理だから」しんどい、大変であると伝えたことや、素振りを見せたことはない。なんとなく、「生理であることをあえて伝える必要はない、直接的に伝えるのは……」と感じていたからである。
今考えると、生理や生理による辛さを表出させない、という当事者の「我慢強さ」が生理の実態について、多くの人が知るきっかけを減らしているかもしれない。
もちろん、生理のことについて女性が表出しづらくしている「前提」があるため、それには目を向けるべきだろう。例えば、家庭教育や公教育において生理について扱うことで、その前提は変わるかもしれない。
けれど、それと同時に、ほんの少しの勇気を持って、当事者側から生理について気軽に話していくことも重要になりそうだと感じた。
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男性の同僚と生理について話してみて、生理のことを伝えることで、女性自身がはるかに過ごしやすくなる可能性があることに気づいた。
正直、これまで私は「どうせ理解し合えない、何も変わらない」と思い込み、「生理」の話題を避けてきた。そして我慢をしてきた。
しかし、今は、日常会話の中で生理について話題にすることで、周りの理解を得ながら生理と向き合っていきたいと思うようになった。
今回は、ふとしたタイミングで、男性同僚と「生理」について話してみたが、私にとっては発見が多かった。
私は、今後も、性別を問わず、まず身近な同僚と「生理」について話してみようと思う。
自分としては納得いかないことを言われたり、嫌なことを言われるかもしれないが、一度は話題にあげても良いのかもしれない。
周りの人と一緒に「生理」を正しく理解して向き合うことができるようになるための、私の小さなトライとして。