以前のわたしなら理想のオフの過ごし方を“寝ること”と答えていただろう。
今までは「寝溜めは正義!!!寝ることこそ至福!!!お昼寝最高!!!」と思っていたわたしだった。しかし、あることがきっかけでオフの過ごし方が変わった。
◎ ◎
わたしにはじめて恋人ができた。
それはそれはもう可愛くて可愛くて……目に入れても痛くないほど愛おしい人だ。
友達からは「は???この人のどこがいいの???」という視線を毎回送られているが、わたしからしたら食べちゃいたいぐらい可愛い人なのだ。
会える日が限られているので、会える目処がたつとわたしは全力で会える週の一週間を乗り越える。恋人との理想のオフを手にするためにわたしはがむしゃらに頑張る。
こうして“寝ること”しか興味がなかったわたしが、愛しい愛しい恋人ができたことでオフが理想以上のものとなった。
あの人と過ごすオフは決して特別なことをしない。
サイゼリヤに行って間違い探しをして、ボトルワインを一本頼んで、お互い好きなメニューを注文して……そして話をしながら料理を食べる。でもこの時間が本当に幸せなのだ。
ニコニコしている恋人の顔を見るだけで心が癒されるし、もぐもぐしている姿が可愛くて可愛くて仕方がない……。
「わたしの恋人可愛すぎない?天使?やばい」と、頭と心がどんちゃん騒ぎである。
料理を食べることも忘れて恋人を見つめているので、恋人から「ほらほら、頼んだのきてるよ?早く食べないと!」と指摘されることもしばしば……。
「やば、指摘するところも可愛い……」と毎回、心の中で思っていることはここだけの秘密である。
なぜこんなにもわたしの恋人は愛らしいのか……どうか神様、教えてほしい。
◎ ◎
サイゼリヤを食べ終わると、一緒にぐでぐでするのがお決まりのパターン。のんびりゆったりと一緒に過ごす。
サイゼリヤのワインだけでは足りないので、ディスカウントストアやスーパーで売っているビールを片手に宴を始める。
わたしはぐでぐでしているとき、恋人のお腹を枕にする習慣がある。なんといっても恋人のこのお腹がとても愛くるしい。
ぽぬんぽぬん……ぷよぷよ……ぽよぽよ……ぬくぬく……
このお腹をどうやって表現したら良いのか分からないが、とてつもなく柔らかくて気持ちがいい。顔を埋めたくなるような柔らかさ……すべてこの瞬間のために生きてきたのではないかと思うくらい心地がいい。
わたしが恋人のお腹に顔を埋めようとすると、「やめろよぅ……」と恥ずかしそうに止めようとする。
「は??可愛すぎないか??天使でしょ……やめたくないなぁ……でもやめないとデートDVになるか……?」と恋人の可愛さのあまりわたしの脳内は頻繁にキャパオーバーする。
「なんでそんなに可愛いの?」と恋人に問うと、「何回も言わないでよ(笑)知らないよ(笑)」と笑ってスルーされる。
わたしがこんなにも恋人が可愛い理由を必死に探しているのに、恋人はそんなことに耳を傾けてくれない。罪なやつだぜ……。
おまけにわたしの恋人はお腹だけでなく、脇腹も柔らかい。そのうえコチョコチョが苦手なので、恋人の可愛いリアクション見たさによくコチョコチョをしてしまう。
「このお腹と脇腹、天然記念物として永久保存したほうがいいんじゃないの?」とわたしが聞くと、「何、馬鹿なこと言ってるの(笑)」と大笑いされる。
わたしは大真面目に話しているのだが、恋人には冗談に聞こえているらしい。全くもって冗談は言ってないのだが……。
できることなら恋人のお腹をムニムニしていたいし、できることなら恋人のお腹にそっくりなクッションが欲しいぐらいだ。
でもこんなことを言ったら引かれるんだろうな……。ものすごい顔をした恋人の顔が目に浮かぶようだ……。
◎ ◎
ここまで話してきたことから察する人もいるように、わたしは恋人のことになるとIQが著しく低下する。
誰がなんと言おうと、わたしにとって恋人はとても可愛くて愛らしい人なのだ。
恋人の愛らしさ故にオフの日になるとわたしの脳内はすっからかんになる。
でもこれでいいのだ。
だって恋人と過ごす日こそが、わたしが手に入れた史上最高のオフなのだから。