「目は口ほどに物を言う」こんな諺があるように、私の一目惚れの基準は「目」である。よく見れば「一目惚れ」の中にも「目」という文字が入っているではないか。
一重、二重、奥二重、猫目、三白眼……。世の中には多くの種類の目がある。二重の幅、目のつり具合、黒目の大きさ等もっともっと細かくもできる。そして、体のパーツの中で、唯一光を放ち、キラキラとしたパーツ。それが「目」なのだ。自分自身の姿を認識し、また相手の姿を認識する。そして相手に自分の姿を写す。
なぜだろう、どんなに自分の話に理解を示してくれたとしても、目を見て話をしてくれないことはとても悲しいことだ。
なぜだろう、嘘をついたとしても、目の動きだけは誤魔化せない。目はそれほどに人の感情に影響を与えるのである。
だからこそ、相手の目を見て、見つめられて……心が動かされてもおかしくないのであると私は言いたい。
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私は最近、街の中のカップルの目もとを見てしまう。そして気がついたのだ。“似ている”と。芸能人のカップルや夫婦にも似ている感じることがあるが、どうだろうか。
普通にしている時が似ているカップルもいれば、笑った時が似ているカップルもいる。マスクをしているからこそ余計に私の目はそこにいってしまう。
ちなみに、私の目は二重である。詳しく言うと、つり目の二重である。思い返してみると、今まで好きになった人は皆、目がぱっちりとした人であった。私を見つめるその目は優しい目だった。その目に見つめられると安心した。
他の人にどんなに熱い視線を送られても、どんなに好きだと言葉にされても、好意を感じることがあっても、私はその「目」に勝るものはないと感じてしまうのだ。
先ほども述べたように、どんなに嘘をついても、目だけは誤魔化せない。嘘をつけない。しかし、これまでの運命の目を持つ彼は、一人は両片思いであったと相手に彼女ができてから友人に教えられ、もう一人は友達以上恋人未満の危うい関係になりかけてしまった。
あれ、なぜだ。目は嘘をつかないのではなかったのか。なぜ好きになぜ気づかなかったのか、なぜ本命ではないことに気づかなかったのか。優しいその目に見つめられ、私は傷ついているのではないか……。
それでも、私があなたに向けていた目は、嘘のない幸せな女の子の目であったと。そんな私の目はきっと恋の痛みなんて見たくなかったのだ。
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アプリでも出会いがある、一目惚れを持ち歩いたり、その辺に転がっていたりするとでも言ってもいい時代である。そして、長いコロナ禍のマスク生活がそろそろ終わりを迎えようとしている。
人々は口もとに意識がいっているであろう。しかし私はこれまで通りきっと、「目」に一目惚れするだろう。理由は分からない。まず、一目惚れに理由なんているのだろうか。いや、いらないであろう。だから今日も私は、綺麗に着飾り、運命の人の目に写る日を待っている。