私は先日、最強のデートをした。
それは、千葉県にある夢のような国の中での出来事でも、都内の高級ホテルのことでも、アウトレットでお揃いを買ったことでも、新作映画デートでもない。
買い物もしてない。コース料理も食べてない。海も、山も見てない。ドライブもしてない。温泉にも入ってない。プレゼントもない。
ついでに、メイクもしてない。おしゃれもしてない。
◎ ◎
私の最強デート記はこうだ。
10時に起床して顔洗って歯磨きして、部屋着ではないけどテキトーな時用の服を着て歩いてコメダ珈琲店へ。
10時57分に入ってモーニングセットをギリギリで注文する。
たっぷりのバターが塗られたふかふかの食パンを堪能し、各々で資格の勉強をしたり、仕事をする。
苦味とミルクのバランスが絶妙なカフェラテで食欲を刺激された私は期間限定のチョコレートのケーキも注文。
コメダ珈琲店で数時間過ごし、いつか買いたいお揃いスニーカーの下見のためにヨーカドーへ入り、ついでに縄張りのLOFTや KALDIも確認。
1人あたり1000円くらいの名古屋飯が食べられる私たちの行きつけのチェーン店にするかサイゼリアにするかの究極の二択に悩み抜いてサイゼリアへ。
サラダの大盛りやお肉の串焼きや一口サイズのエビフライ、ピザとハンバーグを頼んで2人で分けっこ。
赤ワインもジェラートまで頼んでしまった。
2人で2食も外で美味しく食べて一人当たり計2000円だった。
◎ ◎
私が言いたいのは、喫茶店のモーニングでバターたっぷりのパンとコーヒーをいただき、イタリアンレストランでワインもデザートも食べたことでもない。
ノーメイクのダル着で彼氏とのんびりヨーカドーで過ごしたことでもない。
ただ、幸せだった。生きている、と感じるデートだったということだ。
その週の私は、不安定だった。
108本のバラとティファニーのプレゼントat夜景が見える高級ホテルでのプロポーズ、をインスタで目にして落ち込んでいた。
私も欲しいけど、バラが好きなわけでもないし、ブランドに興味は全くない。
要するに、見栄っ張りだった。
彼に対して高いモノや見栄を求める自分が嫌でたまらなかった。
都内で2人で住んでるけど私は体調不良で働けなくてカツカツだし部屋も汚い。
そんな私を受け入れてくれる彼を私の見栄のために使おうとしている自分が嫌で落ち込んでいた。
◎ ◎
だけどあのデートを通じて、私は戻ってくることができた。
デートって、自分や自分たちを映す鏡だと思う。
私たちにとって居心地が良かったのは、服も場所も起床時間も気楽にすることが最強のデートだったということだ。
周りにブラされて自分と彼との幸せのカタチが見えなくなっていた私を、お気楽デートが戻してくれました。
私が本当に欲しかったのは花でもジュエリーでもなく、彼との気楽な時間だった。
心から幸せだったし、嬉しかったし、ずっとこの時間が続いてほしいと思った。
今の私は婚約指輪もお花もいらない。
また一緒にオトナなサイゼリアができればそれでいい。
とりあえず、今年のクリスマスディナーはサイゼリアにしよう。
たまにはこうやって、起床時間も決めずにラクな服装で過ごすデートもきちんとして、自分の自信をなくす世界で溺れている自分を取り戻そうと思います。