一言で整形というと、顔全体をアップデートすることを言うのだと、浅い知識を持ち合わせていた私は思っていた。ビフォーアフターの写真を見たら「誰やねん」となるような手術を"整形"と言うのだと。だから昔は整形に対する印象は悪かったし、そんな話は自分とは無縁だろうと思っていた。

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しかし近年ではむしろそっちの方が珍しく、自分の気になるところだけを綺麗にする"部分整形"が主流だと言うではないか。常に綺麗でいようとする乙女には素晴らしい話である。コンプレックスがなくなっていくことほど喜ばしいことはないだろう。

実際、私の友人も何人か二重手術をしたり、鼻筋を整えたりと美容を施している子は結構いる。整形って結構身近なんだなと思いつつ、一方で私は、未だに整形との距離感がうまく測れない。というか、人の整形に対してどう触れていいのかよくわからない。
ある友人が一重を二重にした。インスタのストーリーで知った。二重になった彼女は本当にかわいくなっていた。彼女はストーリーに整形したことをあげるくらいだから、誰かに整形について触れられることを何とも思っていない(むしろ指摘してほしい)人間だった。

前の職場である女の子が一重を二重にした。それを見た同期が「かわいくなったね」とその女の子に声をかけたが、女の子は微妙な顔をして去ってしまった。後日、彼女が褒めた同期のことを裏で「まじでデリカシーない」と怒っていたことを知った。

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難しい、なんて難しい人の心。後者の女の子に関しては、私も髪型やメイクを褒めたことがある。「今日の髪(メイク)かわいいね」と言うと「ありがとー!」と素直に喜ぶような女の子だ。

整形を褒めるのはアウトだったらしい。同期が言っていなければ、きっと私が「あれ、なんかかわいくなったね」と褒めていた。…ひぃ、考えただけで背筋が凍る。
遺伝子によって形成された元の自分を、メイクで"着飾る"のと、整形で"作り替える"のは表裏一体なようで天と地ほどの差があるらしい。だからといって人によって「この子は整形に触れても大丈夫な子か、あるいは琴線タイプの子か」と思案してしまうのは疲れる。
気づかないフリをして、「私何か変わったと思わない?」なんて声をかけてくれるのを待つのが吉だ。しかしそれで「目がかわいくなったね」なんて言って、「は?前髪切ったんですけど。そこ触れるのまじデリカシーない」なんて怒らせてしまうこともありそうなので、こっちは常にヒヤヒヤである。

整形は決してネガティブなものではない。自分をかわいくしているだけに過ぎないのだから、正直デリカシーなんてものは気にしなくていいような気もするが、人それぞれだ。私は今のところ整形をする予定はないが、もしするようなことがあれば「自分アップデートしました」とか何とか言って知らしめようと思う。周りに気を遣わせるようなことは排除して、同時に「ネガティブな美容は存在しないんだよ」ということも周知できたら本望だ。